世界最大のSNS、フェイスブック(Facebook)がグローバル企業から“広告ボイコット”を受ける危機を迎えた。ドナルド・トランプ米大統領のコメントに、なんの措置も講じなかったからだ。
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グローバル企業はそんなフェイスブックが人種差別を“傍観”しているとして、フェイスブックとワッツアップ、インスタグラムなどに広告を掲載しないと明らかにしている。
問題は6月26日(現地時間)、フェイスブックが人種差別反対デモを非難するトランプ大統領のコメントに対して、「できるだけ多くの表現が可能にしなければならない」と表現の自由を理由に、どのような措置もとらないことから始まった。トランプ大統領が愛用するツイッターが彼のツイートに「ファクトチェック」が必要だという表示を加えたり、「略奪が始まれば発砲する」と書いたツイートに警告したりしたこととは対照的だ。
フェイスブックの“傍観”は、最終的にSNSを消費するユーザーの不満を買った。代表的には全米有色人種地位向上協会(NAACP)などの団体が、人種差別や嫌悪発言などについて特別な措置を取らずにいるフェイスブックの広告を中断することを呼びかけた。
世界中の人々の共感に、グローバル企業側も難色を表すしかなくなった。まずユニリーバ、ベライゾン、ザ・ノース・フェイス、AT&T、ホンダ、コカ・コーラ、パタゴニア、ディアジオ、リーバイスなど120社以上の企業が、フェイスブック広告のボイコットを宣言した。続いてスターバックスも6月28日、ソーシャルメディアの憎悪発言対策の強化を求め、すべてのソーシャルメディアへの広告を一時停止すると発表した。
マーク・ザッカーバーグが「政治家の演説を見ることは大衆の関心事である。報道機関は政治家の発言を報道する。フェイスブック利用者たちが私たちのプラットホームでも、それを見られるようでなくてはならないと思う」と明らかにした後、企業の広告ボイコットが続き、フェイスブックの株価は6月28日(現地時間)、前日比8.32%安の2016.08ドルで取引を終えた。これは最近3カ月間で最も大きな下げ幅だ。
皮肉なことに、フェイスブックに広告を出さないと宣言しただけで多くのメディアで報道され、そのSNSコメントが共有されながら、企業は広告の効果を正確に見ている。論議が大きくなったフェイスブックに広告を出さなかったことで、企業のイメージを向上させるだけでなく、広報まで実現している。莫大な広告費を節約することができ、企業は“1石3鳥”の効果を理由にフェイスブック広告のボイコットに続々と参加している。
一部からは、広告主の不満が積もりに積もり、今回の事件をきっかけに噴出したとの見方も出ている。企業が莫大な費用をかけて広告しているにもかかわらず、それに反対するような否定的なコンテンツが上がってくる状況について、企業は以前から不満を募らせていたとのことだ。
広告ボイコットの期限は、企業ごとに異なる。ほとんどは7月からの1~2カ月間のボイコットを予告しているが、一部の企業は年末まで広告を出さないと伝えた。また、これまで嫌悪発言を妨げなかったフェイスブック、インスタグラム、ツイッターなど、広告をボイコットするSNSも多様だ。
企業側が近年、甲乙関係が入れ替わったプラットホーム事業者を相手に団体行動に乗り出したことで、プラットホーム事業者への“手なずけ”をしているようだ。
とはいえ全世界で20億人に達するというユーザーを持つフェイスブックに対し、企業側が長期間にわたって広告をボイコットすることは難しいとの見通しもある。
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