「監督が、次の作品は授賞式のようにきれいにしてくださるそうだ。ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』のときは、ほかの方々は素敵な韓服を着ているのに、私はいつも水刺間(スラッカン)の服(チャングムのトレードマークとなった服装)ばかり着ていて悔しかった。女優はみんなそうだ。
だけど、そういった部分もまた、キャラクターを自分のものにできた要因ではないかと思う。40代以降は、“女優”ではなく“役者”として自分自身を探したいと思っている。そのときも綺麗な姿でいられたらいい(笑)」
『私を探して』は、行方不明になった児童と児童虐待をテーマにした作品。それだけに、“母”であるイ・ヨンエにとって多くのことを感じさせたという。
「まったく感情を切断できなかった。撮影後には家に帰って家族を大切に思い、寝ている子供たちをもう一度眺めたり、“お母さんの電話番号を言ってごらん”と言ったりした。この映画を観た方々が同じような思いをしたなら、一層やりがいになる」
『親切なクムジャさん』に続き『私を探して』もまた、イ・ヨンエにとってこれまで見せてきた“清純美人”のイメージを覆す選択だった。まるで意図した変身であるかのようだが、そうではないらしい。
「シナリオを見るときは、これまでやったことのない新しい何かを試してみて、役者として成長できることは何かを考慮する。(キャラクターよりも)作品全体の流れやテーマ意識、台本の構成、それらがどれほどしっかりしているかを重要視している」
さらに、「これからも演技への挑戦はどんどんしてみたい」と意欲的な姿も見せた。
「できることは全部やりたい」としながらも、「一番優先するのは、作品のメッセージ性かもしれない。だけど、重くてメッセージ性のあるものばかりというよりは、もう少し幅広く考えたい」とこれからの願望をあらわにした。
『私を探して』は、イ・ヨンエにとってどんな意味を持つのだろうか。
「まさに“私を探すきっかけ”だった。役者としてのイ・ヨンエを再び見つけて、結婚以降、また別の感性を探し出したきっかけになった作品だと思う」
結婚・出産を経験して母となり、新たな可能性を自らに見出したイ・ヨンエ。復帰作『私を探して』が早くも話題を集めているだけに、今後の活躍にますます目が離せない。