最近、“韓国の伝統文化”や“東洋の美”を盛り込んだコンセプトを披露するK-POPボーイズグループが目立つ。
9月30日に『LIT』でカムバックしたONEUSは、これまでリリースしてきたスタイルから離れて韓国伝統文化を取り入れた。
『LIT』はトラップヒップホップをベースに、東洋的な色彩のメロディーラインが調和した曲。韓国らしさを生かした歌詞に民謡を加えた。歌詞とメロディーに加えて、衣装やミュージックビデオにも“東洋の美”を盛り込んだ。
特に今回のアルバムは、ONEUSがデビュー時から続けてきた「US」シリーズの完結版で、さらに力を入れた。また11月から開始するアメリカツアーを控えて披露した曲で、グループにとって非常に重要な時期といえるだろう。
日本にも進出して活動を広げているONEUSが、世界の流行に乗るのではなく、韓国の伝統文化を取り入れた理由はどこにあるのか。
これに対してONEUSのメンバーは、「新しい試みで楽しみでもあり、緊張もした。東洋の趣をONEUSだけの色で表現したかった」とし、「何よりも韓国らしさを伝えたかった。アメリカに行っても伝えてくる」と、力強い抱負を明らかにした。
ONEUSに先立って、他のボーイズグループも“東洋の美”を前面に出したコンセプトで、音楽性を認められたことがある。
“コンセプトドル”(コンセプト+アイドルの造語)として有名なVIXXは、アルバムごとに独創的なコンセプトを打ち出して愛されてきた。
そんなVIXXが2017年に発売した『桃源境』は、韓国の伝統楽器であるカヤグムの演奏が加えられたR&Bトラック曲で、“フュージョン韓服(ハンボク)”(現代的な要素を取り入れた韓服)の舞台衣装なども注目された。『桃源境』は時が経つにつれて真価を認められ、年末の授賞式に招待されるなど好評を博した。
さらにVIXXは、韓国の歌手を代表して国際オリンピック委員会(IOC)総会の開会式にも参加した。米ビルボードも『桃源境』について「東洋と西洋を幻想的に取り入れた」「多くのK-POPの歌とは異なり、詩的な歌詞が東洋的なニュアンスを伝える」などと絶賛した。
“21世紀のビートルズ”といっても過言ではないBTS(防弾少年団)も、韓国の伝統文化を積極的に取り入れたグループとして欠かせない。
BTSは2018年8月に発売した『IDOL』で、東洋と西洋の心をすべて捕らえた。トレンディなメロディーラインと英語の歌詞に、チュイムセ(韓国の伝統芸能)を加えて独特の調和を成した。BTSの『IDOL』は、当時活発に活動していたアメリカでも大きな話題になった。
またBTSも韓服を好んで着ることで知られている。BTSは毎年、秋夕(チュソク、旧暦8月15日)に韓服を着た写真をSNSに掲載し、韓国の伝統衣装に対する愛情も示している。
ここまで見てきたように、K-POPグループが“韓国の伝統文化”や“東洋の美”を重視するのは、なぜだろうか。
一言で、K-POPのグローバル化が理由だ。
K-POPスターは今や、ただの歌手ではなく、韓国文化を広く知らせる“伝道師”となっている。ライブ会場を訪れなくてもYouTubeで簡単にスターを目にすることができる現代は、その傾向をさらに加速させているだろう。
また外国文化が次々と入ってくる韓国内においても、自国の文化を振り返るきっかけになる。特に消費層が10~20代に集中しているため、逆に新鮮な影響を及ぼしているとさえいえるだろう。
そんな傾向の影響からか、アイドルグループのローンチ自体にも変化が生じている。
デビュー予定のグループ「TOO」のメンバーを選定するために行われている新しいオーディション番組『ワールドクラス』でも、グループのコンセプトを東洋の世界観に合わせて準備している。海外進出を目標にしているが、グループのアイデンティティ自体は東洋の魅力を生かすという方向だ。
そもそもグループ名の「TOO」も「テン・オリエンテッド・オーケストラ(Ten Oriented Orchestra)」の略で、ストーンミュージックのチョン・チャンファン代表は「東洋から来た10人の少年たち、西洋の音楽に東洋の価値観を込めて出す意味を込めている」と述べた。
“韓国の伝統文化”や“東洋の美”を取り入れるK-POPグループが増えている傾向は、しばらく続いていきそうだ。
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