なぜ朝鮮王朝の王の食膳は食べきれないほど豪華だったのか?

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なぜなら、王が残した料理は、それを調理した女官たちが食べるしきたりになっていたからだ。

このときばかりは女官たちも豪華な料理を堪能することができた。それを察して、名君のほまれが高い正祖は、あえて小食に徹したのかもしれない。

朝鮮王朝時代の歴代王は、大きな災難が起こったときには意図的におかずの数を減らした。あるいは、洪水や干ばつの被害が大きいときには肉を断って、庶民の暮らしを憂慮しているという姿勢を示した。このように、王はいつも豪華な料理に囲まれていたわけではないのだ。

政治的な意図をもって王が断食することもあった。それは、王の命令に従わない臣下に抗議を示す意味合いがあった。

実際、朝鮮王朝時代の王というと、なんでも意のままに政治を動かしていたと思われがちだが、実は高官たちの抵抗を受けることも多かった。

そんなときに、王は果敢にハンガーストライキを実行して、臣下の者たちを牽制したのである。

この「ハンスト」をひんぱんに行なった王として有名なのが4代王の世宗(セジョン)である。朝鮮王朝最高の聖君といわれる世宗も、実は断食によってかなり健康を害したと言われている。

しかも、彼は肉料理を好み、徹底した偏食でもよく知られた。極端な運動不足であったこともあり、彼は30代で糖尿病を患ってしまった。こと健康管理に関しては、名君とはほど遠い存在だったのだ。

(文=康 熙奉/カン・ヒボン)

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