YGエンターテインメントが内外で大小の問題を抱え、揺れている。
ヤン・ヒョンソク前代表プロデューサーの“海外賭博疑惑”に対する警察の捜査と国税庁の税務調査が同時進行している状況で、来る10月には投資金670億ウォン(約67億円)を返済しなければならない立場だ。
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しかしYGの最大の問題は、逆境を乗り越える“成長動力”が目立たないという点である。いわゆる「キャッシュカウ(CASH COW)」、すなわち収益源が消えてしまったのだ。
9月16日、金融投資業界によると、YGがフランスのブランド品メーカー「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン」(LVMH)グループから投資を受けた610億5000万ウォン(約61億500万円)の返済請求日が、来る10月16日に予定されている。
LVMHは償還転換優先株(RCPS)の引数方式でYGに投資しており、YG株価が転換価格である4万3574ウォンより高ければ、普通株に転換して差益を得ることができるが、株価がそれより低ければ投資を回収して損失を避けることができる構造だ。
YGの株価は5年ぶりに“半分”レベルに急落しており、9月11日現在の株価は2万3500ウォンに過ぎない。
株価がLVMHの償還転換優先株の転換価格水準に達するには、今後1カ月間で85.42%も急騰しなければならない計算だ。YGのLVMHへの返済が事実上、決まってしまっている状況といえる。
ただYGに迫る悪材料は、これだけではない。
警察がヤン・ヒョンソク前代表PDの売春斡旋容疑、海外賭博・為替差益疑惑の捜査に速度を出しており、ソウル地方国税庁は3月のYG特別税務調査によって脱税状況を捕捉したと伝えられる。
YGは今年上半期に営業損失20億ウォン(約2億円)を出すなど、実績が悪い。何よりも最大の問題は、危機を乗り越える“成長動力”がほとんどないという点だ。
近年、音源チャートの“強者”として君臨してきたYG所属の歌手たちは、最近の音源チャートで不振を免れずにいる。YGの危機が表面化した今年5月以降、イ・ハイ、SECHSKIESウン・ジウォン、WINNERキム・ジヌ、YG傘下レーベルYGX所属のVIINIなどが新曲を発表したが、大きなインパクトを残すことはなかった。
来る9月25日にはYGが誇る“音源チャート強者”楽童ミュージシャンが新曲を発表するが、雰囲気を変えるほどの破壊力があるかは未知数だ。
ある歌謡関係者は、「YGはヤン・ヒョンソク前代表PDがすべてのディテールに一から十まで関与しながら、維持された会社である。コントロールタワーが突然いなくなったことが最大の危機要因だ。自分で曲を作ってプロデュースするグループやソロ歌手は、新しいアルバムの発売も可能だが、YGの既存プロデュースシステムが一時停止された今の状況では、アイドルグループのデビューあるいはカムバックに支障が避けられない」と指摘した。
実際に今年下半期デビューを予定していた新人グループ「トレジャー13」のデビューが延期され、iKON、WINNER、BLACKPINKのカムバック日程も出ていない。
別の関係者は、「韓国最大規模のK-POP企画会社が、たった1人が抜けたという理由で制作に赤信号が灯るということは、これまでいかに“ワンマン”で運営されてきたのかを反証する」と述べた。
BLACKPINKが最近、“アメリカ・アリーナツアー”を通じて奮闘したものの、今年上半期のYGの公演売上高は150億ウォン(約15億円)にとどまった。BLACKPINKのアメリカ内の興行力が予想より大きくなかったとの分析もある。
また別の関係者は、「アイドルの海外公演の売上は、企画会社の主要な収入源のひとつであるが、YGの最大の収入源であるBIGBANGの活動再開が不透明で、BLACKPINKも期待ほど大きな売上を作れなかった。YGの“成長動力”が今はよく見えない」と述べた。
化粧品や食品など事業の多角化を図った投資の成果も、目立たない状況だ。
あるK-POP界関係者は「YGは長い間、倫理観や道徳的節度の問題を指摘されてきた。結局、この問題がYGの足をつかんでいる局面だ」と述べた。
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