「イ・チョンは初め、国の平和を思うような男ではなく、そもそも朝鮮という国をよく思っていない人物として描かれる。だから、白い礼服を着ることに大きく悩む。自国を否定する姿だ。しかし、次第に変化し、成長していくキャラクターだった。そんなイメージで演技しただけだ」
さらに、「夜鬼という素材もそうだが、時代的なモチーフとして使っただけで、実在する人物も一人もいない。イ・チョンもそうだ。歴史的な話をしようとしたわけでもない。映画的に描こうとしただけだ」と付け加えた。
彼の言葉どおり『猖獗』は、朝鮮時代を背景にしたゾンビ映画という点が、オリジナリティを際立たせている。
韓国のゾンビ映画といえば、最初にして最高の興行成績を誇る『新感染 ファイナルエクスプレス』が挙げられ、比較は避けられないが、ヒョンビンは、「僕自身が評価、比較することはできないが、『新感染 ファイナルエクスプレス』は限られた空間で表現されたとすると、『猖獗』はもう少し範囲が広い。また、時代背景も違えばクリーチャーたちの性格や行動も違う。こちら(『猖獗』)は暗闇のなかで描かれるので、より一層スリルがあるのではないか」と話した。
『猖獗』は、韓国のほか19カ国で同時公開を予定しており、海外ファンの反響にも期待が高まる。
「海外のファンたちが、ハリウッドのゾンビ映画のように観るのではないかと思う。特に、朝鮮時代は韓国独自の時代背景なので、従来の海外のゾンビ映画とは全然違うように肯定的に観てくれるだろうと期待している」