というのも、韓国でラグビーは“不人気スポーツ”(=マイナースポーツ)に分類されており、まったく人気がないのだ。
どれほど人気がないのか。例えばそのチーム数である。
日本のラグビー競技者人口は約12万人で、毎年冬に大阪・花園で行われる全国高校ラグビー選手権大会には約800校が予選に参加するとされているが、韓国のラグビー人口は、その100分の1にもならない。
財団法人・大韓ラグビー協会に登録されているチーム数も中学22チーム、高校17チーム、大学9チーム、社会人3チームと国軍体育部隊ラグビー部の計52チームという少なさなのだ。
そんな状況だから代表チームはワールドカップ出場歴もなく、ラグビーとアメリカンフットボールの区別もできないという一般人も多い。
それでも『ノーサイド・ゲーム』を楽しみにしている韓国の視聴者たち。その1人に筆者の友人もいるのだが、彼の言葉を聞いて『ノーサイド・ゲーム』が韓国でも通用する理由がわかったような気がした。
「会社員出身のGMが母体企業から予算を引き出そうと苦労したり、母体企業の経営陣から“なぜスポーツチームを運営するのか。お荷物だ”となじられたり、それでもGMが選手たちを説得して地域社会活動に参加させ、愛されるチーム作りを目指して悪戦苦闘する姿に共感する。プロスポーツチームがどうやって運営・成長していくかを描いているので、参考にも刺激にもなる」と。
彼はKリーグのクラブ運営にも携わっているだけに、余計に君嶋GMと『ノーサイド・ゲーム』の世界観に感情移入してしまうそうだ。おそらくそのほかの視聴者たちも、そういった視点でドラマを楽しんでいるのだろう。
いずれにしても、韓国でも放映されている『ノーサイド・ゲーム』。クライマックスが近づいているだけに、ますます物語を楽しみたい。
(文=慎 武宏)