NHK・BSで放送が始まった『100日の郎君様』の“世子”とは何か

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『100日の郎君様』では、ド・ギョンス(EXOのD.O)が主演して凛々しい世子(セジャ)に扮している。

この世子というのは、朝鮮王朝でどんな存在だったのだろうか。

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まさに、朝鮮王朝の国王の正式な後継者のことだ。未来の王として公認された世子はそれにふさわしい処遇を受ける。
 
まず、世子を象徴する七章服(七つの紋様が刺繍されている世子の正服)を着る。そして、世子の権威を象徴する文書や印鑑などを所有する。同時に自分の官僚と護衛兵を率いることができる。

なんといっても、世子は未来の王だ。

いつか王になる日のため、後継者としての訓練をしなければならない。その「いつか」が明日の場合もあるのだから油断はできない。後継者として常に緊張感を持たなければならなかった。

世子は新たな時代を開く「春」に当たるため「春宮(チュングン)」と呼ばれたし、春は東と同義なので「東宮(トングン)」とも称された。

実際、王宮の中で世子が住むところは東側だった。

世子を補佐する世子官僚たちは東宮官と呼ばれた。世子の教育を担当したのが世子侍講院で、護衛を担当したのが世子翊衛司である。世子侍講院の官僚はみんなこぞって、科挙(超難関の官僚任用試驗)に合格した参上官であり、家門も良かった。

未来の王である世子の教育を科挙出身の参上官に任せることによって、さまざまな効果が見込めた。

まず、国家の理念をきちんと把握できるようになるし、世子と官僚たちの人間的な付き合いも深まる。そして、世子や侍講院の官僚たちは王になる日に備えて、どのように国を治めるかを繰り返し討論する。その中で自然に世子と官僚たちの間には理念の共有と人間的な連帯が形成される。
また、世子は10歳過ぎに結婚するのが通例だった。

世子の妻は「世子嬪(セジャビン)」と呼ばれた。

一般庶民の場合は10代後半に結婚するのが普通だったのだが、それよりも世子の婚礼は早かった。これは世子に任命されること自体が大人になったという意味だからだ。

そして、在位中の王が亡くなると、いよいよ世子が新しい王として即位し、すべての権力をもつようになるのだった。

(文=康 熙奉/カン・ヒボン)
 

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