一部では「19禁ドラマは、話題性と視聴率を得るための安易な手段」という主張とともに、お茶の間で煽情的及び暴力的な表現を用いたドラマが放送されること自体に否定的な姿勢を見せている。
また、19禁ドラマの分類基準や実効性そのものに疑問を持つ意見も少なくない。
映画やゲームが公開前に映像物等級委員会の審議を要するのに対して、テレビコンテンツは放送局が自主的に基準を設定することができる。
“放送後に問題が生じた場合は放送通信審議委員会から制裁を受ける”という決まりは存在するが、予め放送局が定めた基準に対して審議を行う機関が存在しないことから、“19禁”という指定そのものが曖昧になってくる。
Netflixのような映像ストリーミング配信も同様に、明確な分類基準を設けていない現状だ。
それだけでなく、ドラマというコンテンツの特性上、視聴者を限定することができない点も大きな問題とされている。
映画の場合はチケット購入の時点で年齢確認を行うなどして対象を管理することができるが、ドラマの場合は“事実上”の19禁表記となるため、各家庭がチャンネル設定や保護者の指導を徹底するほか制限手段がないのである。
テーマや舞台、時代背景などが多様化し、ジャンルが細分化され、人気を集めるのが全年齢対象の作品ばかりではなくなっているのが韓国ドラマ界の現状だ。
特定の趣味趣向と世代をターゲットにしたドラマに対する否定的な意見は尽きないが、それでも19禁ドラマの持つ“表現の自由”、“領域の拡張”といった効果は、多くの視聴者から反響を得ている。
2019年の話題作として放送前から高く評価された『キングダム』や『バベル』もその例外ではないため、“19禁ドラマ”というコンテンツが今後の韓国放送業界に大きな影響を与えることは確実といえるだろう。