韓国で新型コロナの“第3波”が広がるなか、映画館の週末劇場観客数が20万人台にまで落ち込んでいる。この数字は10月頭の連休以降では最低値となっている。
11月30日、映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワークによると、11月27~29日の3日間に劇場を訪れた観客数は計27万6000人と集計された。
その前の週(11月20~22日)は44万2000人だったため、16万人以上も減少したこととなる。また、週末の観客数は秋の連休(10月2~4日)で109万9000人を記録していたが、約半分の50万人台にまで急落した。
韓国では新型コロナの蔓延がやや落ち着いたとみると、映画振興委員会から映画館入場料割引券が配布された。配布以降、観客数は10月30日~11月1日は60万人台、11月6~8日は70万人と徐々に増えていったが、新型コロナが再び感染拡大したことでまたもや下落することとなった。
セクハラ騒動で活動を停止していた俳優オ・ダルスの、2年ぶりの復帰作である『隣人』(原題、イ・ファンギョン監督)は、週末のボックスオフィス(映画興行ランキング)で1位を記録するも、観客動員数は12万2000人にとどまった。
『隣人』は11月25日の封切り後、累計観客数は現在20万人となっている。オ・ダルスの復帰作という話題性に加えて、出演者のチョンウがSBSのバラエティ番組『醜い私たちの子』で熱心な広報活動やインタビューを受けるなど、積極的な広報活動を行ってきた。しかし、その結果がこのような低調な数字にとどまっており、コロナ渦における映画業界の厳しさが露見した形となった。
続いて2位の『盗掘』(原題)は週末に約4万2000人を動員し、11月4日の公開から累計観客136万9000人を記録した。3位にはアニーシュ・チャガンティ監督のスリラー『Run』(原題)が3万6000人で続いている。本作は11月20日の公開から累計観客数19万1000人となっている。
映画関係者は「例年とは異なる状況とはいえ、どうしても新型コロナによる(劇場からの)心理的忌避は避けられない。劇場でも徹底した防疫や、座席間の距離を空けるなどの対策はとっているが、当面はこの状況を見守らなければならない」とした。
「新型コロナの影響は関係なく、現代において映画はストリーミングや家で観るものという風潮が続くことも懸念される。今のような難しい時期にこの風潮が悪いということはないが、コンテンツを作り出す立場としては恐ろしさも感じている」と、映画業界の今後にも不安を見せた。
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