KARA出身のク・ハラが突然この世を去ってから、11月24日で早くも1年が過ぎた。28歳で短い生涯を終えた彼女の死は多くの話題と質問を投げかけたが、残念ながら現実は、まだ変化のスピードが出ていないとの指摘が続いている。
ク・ハラは2019年11月24日、ソウル江南(カンナム)区の自宅で亡くなったまま発見された。満17歳で芸能界にデビューしたク・ハラは、ガールズグループKARAのメンバーとして人気を博したが、プライベートではデートDVやリベンジポルノの被害、うつ病などを経験していた。
何よりも生前のク・ハラは、ネット上の悪質なコメントや書き込みに苦しまなければならなかった。
同じような時期に悪質コメントで精神的苦痛を訴えていたf(x)出身のソルリが亡くなった後、ク・ハラまでこの世を去りながら、韓国では表現の自由を越えて感情のはけ口となっていたコメント文化に変化を求める声が高まった。
その声によってNAVERやDaumといった韓国の大手ポータルサイトは、芸能ニュースのコメント欄を排除するなど対応を見せた。しかし個人SNSなどに場所を変えて、今現在も悪質コメントは書き込まれており、良くなる兆しが見えないのが現実だ。
悪質なユーザーは舞台を移しながら活動を継続しており、当時国会でイシューとなった“悪質コメント防止法”は、これといった成果を残さなかった。自制の努力とともに、悪質コメントに厳罰を与える制度的な対策が必要との議論も続いている。
まだリベンジポルノに対する認識も問題になっている。
去る10月15日、ク・ハラを暴行・脅迫した容疑で裁判を受けていた元恋人チェ・ジョンボムに、懲役1年の刑が確定した。しかし同意なしにク・ハラの身体を撮影した容疑については、無罪となった。
チェ・ジョンボムは2018年9月、ク・ハラに「性関係の動画を流布する」などと脅迫した容疑などで裁判に引き渡された。彼は同年8月にク・ハラの身体を盗撮した疑いと、当時の所属事務所代表にひざまずいて謝罪しろと強要した容疑も受けていた。
その裁判は、ク・ハラとチェ・ジョンボムの双方暴行事件として始まったが、検察から起訴猶予処分を受けて活動再開を準備していたク・ハラが死亡し、リベンジポルノ問題となって社会的な波紋が広がった。恋人関係のときに撮影した私生活の写真・映像を別れた後、報復的に活用する犯罪に対する警戒心の声が高まり、リベンジポルノに対する処罰を強化してほしいという国民請願と集会が開かれた。
それでも違法撮影容疑は無罪となり、法曹界と芸能界を越えて韓国社会全般の「性認知感受性」の不足が指摘されたりしている。
ク・ハラが亡くなった後、さらに浮上したもうひとつの社会問題は、親が扶養義務を怠った場合、財産を継承できないように民法を改正する案、別名「ク・ハラ法」だ。
ク・ハラの実母は、彼女が9歳の時に家出し、20年間も連絡すらしなかったとされる。それについてク・ハラの実兄ク・ホイン氏は、子育ての義務を果たさなかった実母を相手に、相続財産の分割審判請求訴訟を提起した。
ク・ハラの死をきっかけに、養育を放棄した親はその子の遺産を受け取るべきではないとの声が高まっている。しかし1年が過ぎても、その声を反映した「ク・ハラ法」は国会を超えることはできず、その間にも第2、第3の“ク・ハラ事件”は発生している。「ク・ハラ法」は20代国会を通過することができず廃棄されたが、国会行政委員長であるソ・ヨンギョ議員が21代国会で自分の1号法案として代表発議し、立法を再び推進中だ。
ク・ハラが昨年11月24日にこの世を去った後も、さまざまな訴訟や議論が続き、今年1月には個人の自宅に泥棒が侵入して金庫が盗まれる事件まで発生した。
韓流スターとして華やかなスポットライトを浴びると同時に、非難も受けなければならなかったク・ハラ。過酷な人生であっただけに、安らかに眠ってほしいと多くの人が願ったが、残念ながら彼女が亡くなった後も提起された問題は解決されず、未だに宿題として残っている。
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