韓国テレビ局の憂鬱すぎる現状…ドラマに続きバラエティ番組まで奪われてしまうのか

2020年11月09日 話題
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プラットフォームの境界はすでに崩れ、コンテンツの“無限競争時代”が到来した。

韓国ではYouTubeやNetflix、モバイルプラットフォームが浸透してテレビ視聴がますます減っている状況のなかで、ポータル発のコンテンツまで急浮上し、テレビ局の悩みが日増しに深まっている。

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韓国最大のポータルサイトNAVER(ネイバー)のライブストリーミングサービス「NAVER NOW」のオリジナルバラエティ番組がテレビ関係者から注目されている。NAVER NOWでは現在、10のバラエティ番組を提供している。『ハ・ソンウンの深夜アイドル』『ヘイズの日記』などが代表的だ。

また別のポータルの一軸であるカカオも、9月からカカオTVオリジナルのドラマ・バラエティを公開している。これまで提携するテレビ局の番組を短いクリップで見ることができたカカオTVが、自ら制作した映像コンテンツを発表し始めたということだ。

ポータルの映像コンテンツが人気

新しいプラットフォームが生まれれば、自然とスターたちも集まってくる。

NAVER NOWにはチョン・ヒョンドン、パク・ナレといったタレントから、WINNERのソン・ミンホ、P.Oなどのアイドル、キム・ウンスといった中堅俳優まで参加しており、スターの幅が広い。

(画像提供=NAVER NOW)

カカオTVはBHエンターテインメント、マネジメントSOOPなど韓国大手芸能事務所と手を組み、地上波のヒットメーカーPDを迎え入れ、スターを活用したコンテンツの拡張に乗り出した。イ・ギョンギュ、イ・ヒョリなどのインフルエンサーを前面に出した『チンギョンギュ』『フェイスID』などが興行的に成功し、公開から1週間も経たない独自コンテンツが再生回数1000万回を突破するなど、コンテンツプラットフォームとしての地位を固めている。

NAVER NOWやカカオTVのコンテンツは、いずれも新鮮さと柔軟性に基づいて10~20代の視聴者を攻略している。テレビ番組の編成のような“障害”を受けないため、新しいサービスとトレンドの反映が早く、容易い。NAVER NOWのバラエティ番組は、リアルタイムのチャットウィンドウで番組を見ながら他の利用者だけでなく、スターともコミュニケーションが可能だ。

業界では、NAVER NOWもすぐにドラマの制作に入ると見ている。カカオTVは韓国最大のメッセンジャーアプリであるカカオトークを通じて老若男女かかわらず、全年齢層が簡単にアクセスできる点が最大の武器として作用している。

韓国のテレビ局は、ポータルとOTT(ネット経由のストリーミングメディアサービス)の影響がどこまで伸びるか神経を尖らせている。ポータルの2強、NAVERとカカオだけでなく、YouTube、Netflixなどのオンラインストリーミングサービスに、ディズニープラスやApple TVプラスなどまで加勢し、テレビ局の立場が日増しに脅かされている状況だ。

制作費の規模に影響を受けるドラマ市場はすでに先頭を明け渡したが、これまでバラエティ番組だけは違った。テレビのバラエティ番組は、次世代スター誕生の舞台だった。しかし、もはやコンテンツを作成する機会も、作ることができる場所も多様化した。選択可能なプラットフォームが多くなり、バラエティ番組さえもテレビから離れる危機に瀕しているのだ。

(画像提供=カカオTV)

最近は、YouTubeのバラエティ番組『カチャ・サナイ』のように、人気を集めたコンテンツや出演者たちが逆にテレビ局のラブコールを受ける“逆転現象”まで生じている。

バラエティ番組まで失いそうなテレビ業界

そんな現状を眺めるテレビ業界の立場は複雑だ。

KBSのバラエティ番組PDは「同じコンテンツで競争するが、地上波は内容から編成、広告まで多くの制限がある。それに比べてポータルのコンテンツやOTTオリジナルは、審議も自由で、財源の確保にも柔軟性がある。相対的に競争力が低下するしかない環境だ」と指摘した。

ケーブルテレビや総合編成チャンネルの登場に続き、YouTube、NetflixなどOTTの影響力が大きくなり、メディア市場におけるコンテンツ競争はさらに激化した。地上波のテレビ番組はプラットフォームとしてはもちろん、コンテンツの制作者としての地位も下がっており、泣く泣くNetflixにコンテンツを提供したりしている。

もちろん大衆メディアという強みを生かしたバラエティ番組の波及力は、依然として有効だ。しかし問題は、ひとつの成功事例が生まれると、似たような形式のバラエティ番組がテレビ局を問わず、多数制作されるということだ。最近、雨後のたけのこのように出てきているトロットバラエティや不動産バラエティが端的な例だ。

とあるバラエティ番組PDは「MZ世代(1980年代~2000年代初期に生まれた世代)に向けたバラエティ番組ももちろんあるが、テレビ以外のプラットフォームに視聴者を奪われたため、ほとんどのテレビ局は40~50代の視聴層を主なターゲットにしている。そのためバラエティ番組のテーマやフォーマットも、そこに合わせたものにしかならない」と説明した。

また別の地上波テレビ関係者は「内部の限られた番組と編成のなかで、PDが自分がやりたい番組を引き受けたり、新たに企画したりしづらい面がある」とし、テレビ局とは違い、審議規制が自由なプラットフォームへの人材流出が続く可能性があると付け加えた。

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