新型コロナウイルスの影響で低迷している韓国映画界に歌手が主人公の作品が登場し、本格的な観客動員に乗り出した。
例年、秋夕(チュソク、陰暦8月15日)の連休期間(今年は9月30日~10月4日)の映画館では、ハリウッドや韓国の大作による競争が激しかった。そのため公開日を慎重に検討したり、ウィン・ウィン戦略として同じような規模の映画が同時公開されたりした。
しかし今年の秋夕には、すでに確実なファン層がいる歌手を主人公にした映画が登場しており、例年とはまた違った雰囲気だ。
韓国の映画関係者は「やはり新型コロナの影響が大きい。大作が公開時期を先送りにしたことで、中小規模の映画が狙っていた秋夕の連休に作品が殺到した。そこにBTS(防弾少年団)のドキュメンタリー映画や、歌手キム・ホジュンのファンミーティング実況が公開を決め、さらに競争が激しくなった」と説明した。
激しい競争は、前売り率でも明らかになった。
9月23日、韓国映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワークによると、同日午後、BTSのドキュメンタリー映画『BREAK THE SILENCE : THE MOVIE』が39.2%(4万6933人)を占めて前売り率1位となり、続いて『君、ありがとう:キム・ホジュン生涯初のファンミーティングムービー』(原題)が19%(2万2718人)で2位に上がった。
また同日、プレミアム上映館“スクリーンX”は「キム・ホジュンの初のファンミーティングムービーが、この日の前売り開始4時間で2万席を突破した」と明かした。
前売り率の数字がすべてではないが、多くの新作映画を抜いて公演の実況が上位を占めたことについては、関係者も驚きを隠せない雰囲気だ。ある関係者は「思わぬ伏兵が登場した。ジャンルは違うが、これを契機にさまざまな映画を観客が見ることができればいい」と説明した。
驚きの声もあるが、歌手が主人公となる映画が注目を集めていることについては、それなりの理由がある。もちろん、ここにも新型コロナの影響がある。
とある公演関係者は、「(人気オーディション番組の)『明日はミスター・トロット』の公演が10月から再開されるなど、コンサートが復活する雰囲気だが、ファンはここ数カ月間、大きな会場を訪れ、アーティストを目の前で見ることができなかった。そのため大型スクリーンと壮大なサウンドで、自分の好きな歌手の映像を見ることができるだけでも、歓迎すべきことなのだろう」と説明した。
特にBTSのドキュメンタリー映画は、ワールドスターによる公演という楽しみを超えて、特別な意味を持っているだけに注目度が高い。
彼らのドキュメンタリー映画は、韓国人歌手として初めて英ロンドンにあるウェンブリー・スタジアムで単独コンサートを開き、ビルボード月間ボックススコア1位に上がったBTSメンバーたちの舞台裏の姿と、率直な話を盛り込んだものであるため、映画を離れても注目を集めている。
一方、秋夕の連休を狙って公開される映画も、観客を攻略する予定だ。
まず9月23日に女優シン・ミナ主演の映画『ディーバ』(原題、チョ・スルイェ監督)がスタートを切り、俳優チャン・ヒョク主演の『剣客』(原題、チェ・ジェフン監督)が9月24日に封切りする。
続いてシン・ジョンウォン監督の復帰作『死なない人間たちの夜』(原題)と、ソン・ドンイルやキム・ヒウォン主演の『担保』(原題、カン・テギュ監督)が9月29日に同時公開される。それらとは異なり、9月9日の公開予定を先送りしていたキム・デミョンの『石ころ』(原題)は、公開を無期限延期している。
前へ
次へ