俳優カン・ドンウォン(39)が、映画『半島』(原題)で帰ってきた。
『半島』は2016年の映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(以下、新感染)から4年後の朝鮮半島を舞台に、残された人々の最後の死闘を描くアクションブロックバスター。公開初日に観客動員数35万人を記録し、映画業界の復活弾を打ち上げた。
新型コロナウイルス感染症ですべてが止まってしまった今、『半島』は、映画館の繁忙期の幕開けになった。
それが相当なプレッシャーになっていると思いきや、カン・ドンウォンは「むしろ競争作品がなくて安心だ」と冗談を飛ばす。「最初は心配と負担になったが、もう運命に任せようと思う」と淡々とした様子を見せた。
約190億ウォンの制作費が投じられた大作であり、『新感染』の続編ということからくるプレッシャーは、主演俳優カン・ドンウォンが乗り越えるべき壁でもあった。
「シナリオを読んだ時は負担になった。監督には『どうして僕なんですか?』と聞いたりした」
ただ、彼が『半島』を選んだのは、『半島』の世界観を具現化するヨン・サンホ監督への信頼があったからという。
「挑戦する価値があると思った。監督のビジョンと考えが確固たるものだったので、プレッシャーはなかった。『新感染』より良くなった、一歩前進した映画にしなきゃという、俳優としての責任感だけがあった」
『半島』は、ワールドワイド公開する初の商業映画としても注目を集めた。世界185カ国に上映権の先行販売およびアジア各国での同時公開を確定し、今年のカンヌ国際映画祭に招待されたことで世界的な関心を集めた。
カン・ドンウォンもまた、海外からの期待を体感しているという。「海外ですごく注視しているそうだ。実はこれほどとは期待していなかったが、『半島』に合わせて映画館公開を始める国もあるらしい。本当に不思議な経験だ」
カン・ドンウォンが演じる主人公ジョンソクは、激しいアクション演技を行うも、ヒーローではない。希望を失って無気力な日々を送る最中、孤立した半島で出会った人々によって覚醒・成長していく人物だ。
むしろ女優イ・ジョンヒョンやイ・レが演じる女性キャラクターのほうがアクションを主導するため、カン・ドンウォンの役柄が味気なく感じられるほど。ただ、カン・ドンウォンはそういう部分が『半島』を選ぶことになった理由と言う。
「一般的に弱者と言われる人々を僕が守るのではなく、むしろ助けられたり守られたりしながら同等に戦っていくのが良かった。普通、子供たちは大人の心を動揺させる道具として使われ、大人を助ける役割をする場合は少ない。それがこの映画の違う部分だと思った。チョンソクは引き立て役に近い。インパクトのあるシーンがないと思われるかもしれないが、最初から理解し、予想していた。僕はむしろイ・ジョンヒョン先輩とイ・レちゃんをどうすれば目立たせるか悩んだ」
『半島』はゾンビアクション映画だが、大きな枠では「人間性の喪失」という重い問いを含めている。
この問いに対し、カン・ドンウォンは「ああいう災難が押し寄せても、人間性を失わない自信がある。心の通じる同士たちと戦う」と迷わずに答える。そして「実用的なものを追求するほうなのでたまに冷たく見えるかもしれないが、実は頭は冷たく、心は熱い人だ」と笑った。
インタビューの間、とりわけ「大人男性」という言葉をたくさん使ったカン・ドンウォン。「鏡を見ても、もう大人男性の顔になったのを感じる」という彼の言葉は、俳優としての心境の変化をうかがわせた。
『オオカミの誘惑』『私たちの幸せな時間』『人狼』『ゴールデンスランバー』など、これまでの出演作ではくっきりとした顔立ちと長身を生かしたファンタジー性のある人物を務めている。一方、今回の『半島』でのキャラクターは登場人物の中で最も平凡だ。まるで俳優としての新しい方向性を探っているカン・ドンウォンの姿が投影されているようにも感じる。
来年で40歳になるという彼は、「最近になって、私が完全な大人の男性になったなと感じる。昔は責任を取ることを避けていたが、もう避け続けるのは無責任だと思う」と語る。そういう点で今回の『半島』は、俳優としての新たな跳躍のきっかけになったそうだ。
カン・ドンウォンは最後に、「今回演じたジョンソクもこれまでとは違う、大人男性のキャラクターだった。今後、私の人生にたくさん変化がありそうだ」と、力を込めて話した。
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