映画『#生きている』主演のユ・アイン、30代半ばで手に入れた「ほどよい脱力感」を語る【インタビュー】

2020年06月27日 話題 #韓国映画
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映画『#生きている(#alive)』の主演を務めるユ・アイン。いつの間にか30代半ばに入った彼に、多くの変化が訪れたという。

【画像】女優ソン・ヘギョ、ユ・アインとの友情アピール

『#生きている』では、一夜にして孤独になりパニックに陥る人物ジュヌ役を熱演。

落ち着いて生存戦略を考えるもう1人の生存者ユビン役を演じるパク・シネと初共演を果たした。

序盤の40分間、1人芝居

パク・シネが登場するまでの序盤40分ほど、ユ・アインはワンマンショーで演技を披露する。

新しい挑戦であると同時にプレッシャーも相当あったという。しかし、ユ・アインは正体不明のゾンビに対する不安と恐怖心を高い演技力で演じ切った。

「1人で物語を進めることにプレッシャーを感じたり、慎重になったりもしたが、一方ではチャレンジ精神を刺激されたりもした。序盤をここまで1人でこなす映画はなかったが、懸念していたより上手くできたようで安心した」

彼は『#生きている』について、「いつにも増して準備を重ねた映画だ」と力を込めた。

「ジャンル映画は初めてで、1人で展開させないといけないシーンもあったし、結果に対する責任感も感じ、たくさん練習した。リハもたくさんして現場でも台本を何度も確認した。そのように取り組んだ結果、映画を前より広い視野で見られるようになった」と語っている。

パク・シネとの共演については「自分より年下だが、たまに姉のように感じるときがある。この映画のパク・シネさんが、どの映画の姿よりも一番良かったと思う。現場でも顔色をうかがうスタイルではなく、自分の意見を上手く述べながら柔軟にさまざまな試みをして現場に馴染んでいく。神経質でネガティブな面は一度も見なかった」と称賛を惜しまなかった。

(写真=UAA)ユ・アイン

今までで一番近いキャラだった

俳優ユ・アインと言えば、まっさきに思い浮かぶのが「青春の具現化」だ。

映画『よいではないか』『ワンドゥギ』『カンチョリ オカンがくれた明日』『バーニング 劇場版』など多くの作品の中でさまざまな青春模様を描いている。

その中でも『#生きている』のジュヌはもっとも親しみがあり、人間的なキャラクターだ。

ジュヌの姿が実際の自分ともよく似ていると切り出したユ・アインは「映画を観た友人や知人もみんな“今までの作品の中で一番近い”と言っていた」とし、「今まで多くの若者を演じてきたが、そのなかで最も浮ついている平凡な人物だったと思う。なので、気楽に演じることが出来た」と語った。

現実では依然として少年っぽさが漂うことについて聞くと「よくわからない」と笑ったあと、「確かなのは少年性、純粋性は持ち続けようと努力している。20歳の時のインタビューでも“歳を取るのが嫌い”と言ったが今も相変わらず嫌いだ。それでも歳を取ることの長所と面白さを感じようと努力している」と微笑んだ。

『#生きている』は、従来のユ・アインが演じてきた作品とは少し外れている。

ゾンビを描いたジャンルである上に、新人監督の作品という部分もそうだ。

出演のきっかけについては、こう語っている。

「一見するとエンタメ映画のようだが、その中で重くならない程度に時代を反映したのが良かった。生きていくことの意味について、力を抜いて伝えられる映画だと期待しながら選んだ。実は今まで真面目で渋い役どころに執着してきた。何が本当の意味で良いメッセージなのかも分からず、そういう映画を優先して追いかけた。それが俳優として生きていく中で、自分なりに生存する方法だと思ったから」

久しぶりにスクリーンで会ったユ・アインは、やや神経質に見えた以前よりずっと穏やかで余裕のある印象だった。

このほど、初めてバラエティ番組『私は一人で暮らす』(原題)に出演した点からも、ユ・アインの変化に対する意思が感じられる。

「周囲は『え、あのユ・アインが?』という反応だった。タレントに対する尊敬と尊重を大きな声で表現したかった。

いつからか、プライドの高い俳優よりもタレントのほうが大衆に大きな感動を与えていると感じるようになり、バラエティ番組にも出演するようになった」と説明している。

そして「ただ1つ、心配なのがユ・アインの関連ワードに『#生きている』より『私は一人で暮らす』が先に出ることだ。これが現実なのか、と思った」と笑いを誘った。

(写真=UAA)ユ・アイン

「流れゆくままに生きたい」

いつのまにか30代半ばに入ったユ・アインは、内面的に多くの変化を経験しているようだった。

俳優ならどう行動すべきかという不便な基準を破ったと打ち明け、「そのような固定概念を考えない余裕が出来た」と話している。

新人監督との仕事を決心した理由についても「以前は現場でも受動的なほうだったが、これからは積極的に動きたい。そうすべき時期が到来したようだ。もっとアクティブに現場に臨むべきだという責任感や義務感も生まれた」と話した。

今後の計画はあるかという質問には、「今は本当にない。これからは周りの環境を受け入れながらやっていきたい」と答える。

「流れゆくままに生きたい。悩まなくてもいい年齢でたくさん悩んできたので、もうそうしたくない。賞を取って褒められる。そういう『夢』とくくられる設定で自分を動かしたくないという意味だ。以前は常に自嘲的で分析的だったので、その瞬間に馴染めなかった」

さらに「過去には楽しめる余裕がなかったと思う。今は幼い頃の劣等感による欲を捨てて、楽になりたい気持ちだ」と付け加えた。

ユ・アインが主演する映画『#生きている』は、韓国で絶賛公開中。公開初日の6月24日に、20万4071人の観客を動員した。

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