Netflixの人気作ランキングの上位をキープし続けている韓国ドラマ『梨泰院(イテウォン)クラス』。
主人公パク・セロイ(演者パク・ソジュン)が個性的な仲間とともに成長していく新しい青春群像劇が、日本でも人気を集めている。
このドラマの全体的な大筋は、“旧世代に対する若者の反撃”だ。
所信を貫きながら生きるパク・セロイが今の世代を象徴し、成功のためなら息子まで突き放すほど貪欲な「長家」の会長チャン・デヒ(演者ユ・ジェミョン)は旧世代を代弁する。
身一つしかない若者がすべてを握る旧世代に全力で立ち向かう姿は、視聴者の胸を熱くした。
『梨泰院クラス』が見え透いた復讐劇に感じられない理由は、復讐の方法にある。
パク・セロイは数々の不当な目に遭いながら復讐心を抱くが、相手に直接危害を加えたりはしない。ただ彼らとは違うやり方で成功してみせるという意志を持って、着実に一歩ずつ前に進む。
大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「若い世代が旧世代の持つ考え方とシステムに対抗する物語としての復讐劇だ。こうした点が今の時代とも相まって、人気を博しているのでは」と分析した。
もう1つの注目すべきポイントは、その過程で描かれる若者の飲食店の創業だ。
「長家」に立ち向かう方法として「タンバム」という店を開業し、株式会社ICと規模を拡大していく過程も視聴者が関心を持った要因の1つだろう。
突然の成長よりも、着々と準備して段階を踏んでいくパク・セロイの姿は、現代に生きる若者に満足感とともに共感を与えた。
さまざまな青春模様もドラマの面白さを倍増させる。
中卒で前科のあるパク・セロイから、孤児として育ったオ・スア(演者クォン・ナラ)、極道出身の前科者チェ・スングォン(演者リュ・ギョンス)、トランスジェンダーのマ・ヒョニ(演者イ・ジュヨン)、アフリカ・ギニア出身のハーフ、トニー(演者クリス・ライアン)など、それぞれコンプレックスを持つ若者たちが自由を象徴する街「梨泰院」に集まり、既得権に立ち向かいながら成長していく。
何よりも従来の作品では見られなかった“ソシオパス”のキャラクター、チョ・イソ(演者キム・ダミ)は、自分の欲望に忠実で率直な人物として女性キャラクターの新しい地平を開いたとの評価を得た。
魅力的なキャラクターたちが登場する、一風変わった復讐劇。『梨泰院クラス』ならではの魅力が、ヒットにつながったのかもしれない。
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