ドラマ『梨泰院クラス』のオ・スア役を熱演した女優クォン・ナラが、作品を通して大人の女性の魅力を放った。
その魅力が最も発揮されたのは、やはり最終回だろう。
最終回では、オ・スアが辛抱強く働いてきた「長家」からついに手を引く様子が描かれる。
「長家」に献身的に忠誠を尽くしてきたというキム室長に対し、皮肉めいた笑みを浮かべた彼女は、他人の指示に従う受動的な人物ではないことを想起させた。
主人公パク・セロイ(演者パク・ソジュン)が「長家」を買収して復讐に成功した日、オ・スアはパク・セロイの亡き父、パク・ソンヨル(演者ソン・ヒョンジュ)の墓参りに訪れた。
彼女はパク・セロイを祝いながら「あなたのお父さんから大学の入学金を借りたとき、3倍にして返すって約束したの。これで十分かな?」と心配そうに聞く。十分だというセロイの言葉に「私もこれからは本当の自分の人生を生きる」と決心する。
それまで我慢してきた深いため息を吐き出し、パク・ソンヨルの墓を見ながらおぼろげに微笑むその姿は、オ・スアが自分自身はもちろん、他人を思いやるようになった大人として成長したことをうかがわせた。
そして、梨泰院に自分のレストランを構えたオ・スア。噂を聞いて訪ねてきたチョ・イソ(演者キム・ダミ)に「社長がきれいでしょう?」と、余裕たっぷりの態度を見せる。
パク・セロイをめぐって三角関係を繰り広げたチョ・イソが、彼と付き合っているという話にも「あなたなら安心だわ。セロイをよろしくね」と心から2人を祝った。
クォン・ナラは、将来が保証されていたにもかかわらず、人生の恩人のためにそれを潔く諦めるオ・スアに完璧になり切った。
オ・スアの成長に合わせて眼差し、表情、衣装など細かい部分にまで気を配り、キャラクターの変化を最大限表現している。
特に、約10年間抱いてきた本音を覗かせながら、「本当のオ・スア」に戻るシーンでは、息遣いまでコントロールする細やかな感情演技で視聴者を物語に集中させている。
クォン・ナラは、より一層成長した演技力で『梨泰院クラス』の完成度を高めた。並々ならぬキャラクター分析と表現力で“初恋役”の新たな地平を切り開き、今後の活躍にも期待と関心が集まっている。
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