夜10時は「ドラマ枠」という韓国テレビ業界のしきたりも、今や昔話となった。
10時のドラマ編成を固守してきたKBSまで変化に合流し、地上波のテレビ局3社のドラマシリーズ枠がいずれも夜9時に早まったのだ。
真っ先に変化を図ったのはMBCだ。
昨年5月に放送された『ある春の夜に』から、ドラマシリーズを従来より1時間繰り上げた夜9時という破格編成を試みた。
このような編成の柔軟化はMBCドラマの新たな活路となった。
現在は若干の変化を経て月・火ドラマ『夕食一緒にしましょうか』(原題)が夜9時30分に、水・木ドラマ『コンデインターン』(原題)が夜8時55分に放送されている。
SBSは、月・火ドラマが午後9時40分に放送中だ。
今年1月に放送された『浪漫ドクターキム・サブ2』から従来の夜10時から9時40分に編成を移動し、計80分の放送で地上波ドラマの“60分ルール”を大胆に破った。現在放送中の月・火ドラマ『グッドキャスティング』(原題)も夜9時40分からの放送になっている。
ケーブルテレビも例外ではない。
tvNの場合、月・火ドラマ『(知っていることはあまりないけれど)家族です』(原題)が夜9時、水・木ドラマ『オーマイベイビー』が夜10時50分に放送中だ。
また、JTBCの月・火ドラマ『夜食男女』(原題)と水・木ドラマ『サンガプ屋台』(原題)も午後9時30分に放送されている。
平日夜10時のドラマ枠を最後まで維持してきたKBSも、相次ぐ視聴率不振を受けて編成時間の変更に乗り出した。
KBS側によると、7月1日から月・火ドラマ、水・木ドラマともに従来より30分繰り上げた夜9時30分に放送される予定だ。
現在放送中のドラマは夜10時から放送されているが、後続作品の『あいつがそいつだ』(原題)は編成時間が夜10時から9時30分に繰り上げられる。
「視聴者の変わったライフスタイルを反映した」というのがKBSの説明だが、他のテレビ局が視聴者を先取りしたことがKBSの視聴率に悪影響を及ぼしたという意見も上がっている。
実際、KBSドラマは昨年の『椿の花咲く頃』以来、これといった興行成績を収めていない。
『おかえり』(原題)は、平日の地上波ドラマシリーズの中で過去最低視聴率を記録し、不名誉な記録を残した。
ヒーリング医療ドラマ『魂修理工』(原題)も不振を断ち切るには惜しい視聴率だ。
昨年11月に終了した『朝鮮ロコ ノクドゥ伝』以来、約5カ月ぶりに再開された月・火ドラマ枠の『Born Again』も1~2%の視聴率にとどまり、頭角を表せずにいる状況。
変化に乗り出したKBSが地上波の同時間帯の視聴率競争にどのような影響を及ぼすか関心が集まっている。
これに対する業界の見方もさまざまだ。テレビ局ごとにドラマの放送時間が少しずつ違うため、視聴者を混乱させているという苦言も出ている。しかし、むしろテレビ局のこうした変化がドラマ危機の中でコンテンツそのものでの真っ向勝負につながるという意見も少なくない。
あるテレビ局関係者は「これからは同時間帯に一斉にドラマが放送され、編成など付随的な要因によりコンテンツの質を高めることにテレビ局がさらに熱を上げるだろう」と見通した。
また他の関係者は「視聴者の生活パターンが変わったのが事実。退勤時間が早くなりテレビを見る時間が早まった点を考慮した地上波の編成変更は視聴者のさまざまなニーズを満たすための努力の一環だ。さまざまな変化を通じて肯定的な効果を引き出すこともできるはず」と述べている。
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