“正常家族”というファンタジーを取り除き、「非婚」や「卒婚」、「結婚はスキップ」といった変わった時代像をポジティブに描く韓国ドラマが続々登場している。
6月1日から放送中のtvNドラマ『(知ってることはあまりないけれど)家族です』(原題)は、タイトルからして家族への幻想に物申している。主人公キム・ウニ(演者ハン・イェリ)の母による“卒婚宣言”後、突然事故に遭って記憶喪失になった父、そして3兄弟が繰り広げるホームドラマだ。
本作のクォン・ヨンイル監督は「家族を描いた従来のドラマは仲睦まじさを強調していたが、我々は、いまの家族の姿をすごくリアルに描く」とコメントし、従来の通念を覆すと宣言した。
3月から放送中のKBSドラマ『一度行ってきました』も、そのタイトル通り離婚に対する変わった認識を描いている。4人の兄弟がみんな離婚してしまうという設定のもと、離婚による親と子の葛藤を解決し、各自の幸せを見つけていくストーリーだ。
韓国統計庁によると、2019年の婚姻件数は32万組、離婚件数は13万5000組と、3組に1組が離婚した。『一度行ってきました』の制作陣は、「離婚も流行になった時代」という記事の見出しが、本作を企画するきっかけだったと説明している。
最近、20~30代を語る上で欠かせない、「非婚」を描くドラマも注目を集める。
現在放送中のtvNドラマ『オーマイベイビー』では、主人公チャン・ハリ(演者チャン・ナラ)が結婚はスキップして子供だけを欲しがる女性として描かれる。
ややリアリティに欠けた設定のようにも思えるが、現実はよりドラマチックだ。
就職情報サイト「incruit」が5月21日の夫婦の日を記念して未婚男女568人を対象に行ったアンケートでは、85.3%が「結婚は必須ではなく選択」と答えている。
また、SM C&Cのプラットフォーム「Tillion Pro」が30代の未婚女性389人を対象にしたアンケートでは、「結婚後に子供を産みたい」と答えたのが34.2%、「結婚しないで子供だけ欲しい」と答えた比率が10.3%だった。「結婚と関係なく子供が欲しい」と答えたのも7.5%だった。
夏に放送を控えているKBSドラマ『どいつもどいつだ』(原題)も、「非婚主義」を取り入れた。“男なんて皆同じ”と感じる女性が、2人の男性からアプローチされたことで起きるエピソードを描く。
「家族=仲睦まじい」という公式から一歩外へ踏みだそうとする最近のドラマについて、テレビ関係者は次のように話す。
「結婚や家族の形について、従来のドラマは現実を反映できなかったのが事実だ。最近は仲睦まじい家族よりも個人の幸せに重きを置こうとする変化が著しい」
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