「脚本に惚れた。シンプルな話だが、何かが伝わった。初めて読んだとき『これはほぼ確定だ』と思った。監督はどんな方なのか、なぜこんな作品をやろうとするかが最も重要だったが、以前監督が作ったドキュメンタリーを見て確信した。こんな監督なら、心を込めて作るに違いない、と。のちに聞いた話では、監督は私が当然断ると思っていたみたいで、出演を決めたことにびっくりしたらしい(笑)。私が好きなテーマと、映画のトーンだった。荒っぽいけれど深いことを考えられる映画が好きで、その要素を持っていた」
――ずっと試練に晒されるキャラクターだ。演じるのが容易ではなかったと思う。
「10代、20代にいろんな事件に巻き込まれるキャラクターだ。それを演じるときは、ただ生き残るための人生を思いながら感情を盛り込もうとした。むしろ30代を演じるのが難しかった。14年ぶりに息子と再会したとき、どんな目つきと表情をすべきか、悩んだ。30代の母を演じるときは、感情を押し殺すこともあった。監督も、私が込み上げてくるときに落ち着かせてくれた」
――辛い過去を持つ女性を演じながら、同じ女性としてどう思ったか。
「演じながらたくさん泣いた。痛々しい状況に置かれていて、可哀想だった。涙が止まらなず、落ち着こうと頑張ったシーンもある」
――息子役のチャン・ドンユンとはどうだったか?
「彼は、キャラクターそのものだった。礼儀正しく、中国語もすごく上手で本当にナチュラルだった。彼を頼りに一緒にやり遂げた。劇中、二人は普通の母子関係ではなく、少し距離感がある。今回は撮影期間がすごく短かったし、作品の重い雰囲気にもつられ、あまり話をかけられなかった。ふたりでずっとキャラクターの感情を維持していた。でも、息は合っていた
――『ビューティフルデイズ』で、新たな女優イ・ナヨンの姿を見せた。今後、どんな女優になりたいか?
「作品数などにかかわらず、“あの人、気になる”と思わせるのが、役者にとって最高ではないかと思う。“今度はどんな雰囲気だろう?”という興味を持ってもらいたい。そのために上手くやらなければいけないと思っている」