なぜ韓国のアーティストたちは、音源チャート1位になろうと必死なのだろうか。
「チャート別1位になるためには3億ウォン(約3000万円)」という話が公然と出回るK-POP界に3月10日、音源の“買い占め疑惑”を提起したBlock Bのパクキョンが、警察の調査を受けたというニュースが伝えられた。
【注目】K-POPの“闇”…チャート1位のための「音源買い占め」とは?
パクキョンは2019年11月、SNSに「Vibeのように、ソン・ハイェのように、イム・ジェヒョンのように、チョン・サングンのように、チャン・ドクチョルのように、ファン・インウクのように買い占めをちょっとしたい」という文章を掲載したことがある。
音源の買い占めとは、大手の芸能事務所やプロダクション、レコード会社などが専門ブローカーを雇い、所属するアーティストの楽曲をメディアやネット上などで何度も流し、音楽配信チャートなどで上位にランキングされるよう仕向ける不正行為のことだ。
実名を挙げられた歌手たちは「事実無根であり名誉毀損」と強く反論し、パクキョンへの法的対応に乗り出し、今回、それと関連してパクキョンが警察の調査を受けることとなった。
同日、ツイッター上では「#私のお金は_私が聞く音楽にだけ」というハッシュタグがつけられ、音源使用料の精算方式を変えたNAVERの音楽プラットホーム「VIBE」の話で騒々しかった。
パクキョンの発言とハッシュタグのスローガンは無関係に見えるが、ひとつにつながっている。
まさに音源サイトのチャート100位内に過度に支払われる音源使用料が、音源の“買い占め”という順位操作を生んだからだ。
ほとんどの韓国の音源サイトは、音源使用料を比例配分制で精算する。再生された音源全体のうち、特定の音源が占める割合を計算し、音源使用料を精算する方式だ。その割合は通常、音源順位1~100位の順に分けられる。
つまり自分が聴いているアーティストに音源著作権料が支払われるのではなく、音源チャートの人気度に基づいて音源使用料が精算されるということだ。
そんな現実を変えるかのように、音楽プラットホーム「VIBE」は3月9日、業界で初めてユーザーが聴く音楽に基づいて音源使用料を策定し、著作権者に支払う精算方式に変えると明らかにした。
また、著作権者が透明性のある再生関連のデータと精算額を確認できるシステムを用意するとの意思も伝えた。
ここでひとつ、疑問が浮かぶ。
ほとんどの音楽ストリーミングサイトは、なぜこれまで比例配分制を実施してきたのだろうか。
韓国音楽著作権協会の関係者は、「これまでは各ユーザーが聴く音楽を正確に把握し、情報を集める技術が不足していた。VIBEが別の方式を適用するということは、一人ひとりのデータを正確に収集することができるプログラムを作ったということになり、正しく運営されるのであれば、ものすごい試みだ」と評価した。
事実、これまでK-POP界で音源の“買い占め”が横行してきたのは、音源使用料を多く受け取るためにトップ100位以内に入らなければならなかったからだ。
同関係者は「K-POP界がアルバム市場から音源市場に変わり、また各音源サイトでユーザーが支払う方式が定額、ストリーミング券となっているため、正確に消費者が何をどれだけ聴いたのか確認する方法がなかった。そのためトップ100のランキングに依存して使用料が支払われていたのが現実であり、そんな慣行が音源の買い占めをあおった面がある」と述べた。
もちろんVIBEの試みが、インディーズ音楽などの非主流アーティストたちに良い影響を与えるかは、現時点では断言できない。
この関係者は「むしろ(ヒット曲を中心に聞くユーザーが多く)100位圏の歌手が、従来よりも多くの金額を受け取る市場になる可能性もある」としながらも、「今回のVIBEの試みが成功すれば、以前よりも多様な音楽が作成される音楽市場になるのではないか」と予想した。
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