日本女子ツアーの開幕(3月5日)まで残り1カ月を切ったなかで、早くも韓国女子ゴルファーたちのし烈な競争が始まっている。
舞台はアメリカ女子ツアーだ。他でもなく、東京五輪に向けた韓国女子ゴルファーたちの出場権争いが繰り広げられている。
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韓国ではアメリカで活躍する女子プロゴルファーたちを“太極娘子”(テグッナンジャ)と呼んだりするが、彼女たちの誰が韓国代表としてオリンピック出場権を手にするか、まったく先が見えない展開になっている。
そもそもオリンピックでゴルフ競技は、各国から基本的に2人に出場権が与えられる。ただし6月29日規準の世界ランキングで15位までに同一国から2人以上入れば、最大4人まで出場可能となる。
2月17日現在、世界ランキング15位内には、日本から3人が入っている。畑岡奈紗(4位)、渋野日向子(12位)、鈴木愛(15位)だ。
つまりこのままの順位でいけば、日本からは3選手がオリンピックに出場できることになる。
一方、現在の世界ランキングで15位までに4人以上の選手が入っている国は、韓国だけだ。
1位コ・ジンヨンをはじめ、3位パク・ソンヒョン、6位キム・セヨン、9位イ・ジョンウン6、11位パク・インビ、13位キム・ヒョージュと、計6人が世界ランキング15位内に入っている。
6人のうち、オリンピックに出場できるのは4人だけだ。またすぐ後の18位ユ・ソヨン、20位ホ・ミジョンなども競争に加わる可能性があり、すでに東京五輪に向けたサバイバルが始まっているといえる。
興味深いのは、1位コ・ジンヨンをのぞけば、誰が韓国代表になるか見えない非常に僅差の激戦となっているということだ。
不動の世界ランキング1位のコ・ジンヨンこそ、平均スコア8.53と圧倒的で、2位ネリー・コルダ(アメリカ、5.87)以下を大きく引き離しているが、3位パク・ソンヒョン(5.86)から13位キム・ヒョージュ(4.02)までの差は、わずか1.84ポイントしかない。
それどころか、20位ハ・ミジョン(3.32)ですら3位とは2.54ポイントの差だ。
1位と2位の差が2.66ポイントであることを踏まえると、1位と2位が逆転するよりも、20位の選手が3位に浮上する可能性のほうが高いということになるだろう。
まさに1戦1戦が大きく東京行きの可能性を変えることになり、前回のリオ五輪で女子ゴルフ金メダルに輝いたパク・インビも最近、こんなことを話していた。
「今年のオリンピック出場は容易ではない挑戦だ。オリンピックでメダルを取ることよりも、韓国代表になることのほうが難しい」
それだけにパク・インビは例年とは違って1月から始動し、2月16日に幕を下ろした米国女子ツアー「ISPS HANDA オーストラリア女子オープン」を制した。東京五輪に向けて、世界ランキングを上げるために他ならない。
そんなし烈な韓国代表争いだが、肝心の米国女子ツアーは新型コロナウイルス感染症の影響を受けている。
日本の畑岡奈紗や渋野日向子が参戦を予定していた2月20~23日の「ホンダ LPGAタイランド」や、2月27~3月1日に予定されていた「HSBC女子チャンピオンズ」が中止となってしまった。
さらに3月5~8日の「ブルーベイLPGA」の中止も決まっている。アジアシリーズ3大会がすべて中止されたのだ。
こういったアクシデントが、のちのち世界ランキングに響いてこなければいいのだが…。
いずれにしても東京五輪を目指す韓国女子ゴルファーたちの争いは、ますます過熱していくはずだ。
(文=慎 武宏)
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