ソウルで行われたフィギュアスケートの四大陸選手権で、韓国勢が2009年のキム・ヨナ以来、11年ぶりに表彰台に上がった。見事銀メダルを獲得したのは、“キム・ヨナの後継者”とも呼ばれる15歳の新星、ユ・ヨンだ。
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ユ・ヨンはショートプログラムで73.55、フリーでISU公認の自己最高得点149.68を記録し、合計223.23を獲得した。
表彰セレモニーでは転倒するハプニングもあったユ・ヨンは、「韓国で開催された大会でメダルを獲得でき、胸がいっぱい。プレッシャーも大きかったが、これからもっと頑張りたい」と笑顔で話した。
また、「トリプルアクセルもしっかり成功できたので後悔はない。これを土台に、もっと成功率を高めていきたい」と語った。
「ファンの応援が力に…」
成長過程にあるユ・ヨンの支えは、昨年から指導を受けている浜田美栄コーチ(60)の存在だ。浜田コーチの手腕で才能を引き出したユ・ヨンは、両肩に羽が付いたかのごとく、トリプルアクセルの成功率を高めている。
今回の四大陸選手権、女子フリーでは華麗にトリプルアクセルを成功させたユ・ヨンだが、ショートプログラムでは着地の際にバランスを崩してしまった。それでも、足首に負傷を抱えた状態のまま、高得点を叩き出した。
このことについてユ・ヨンは、「2016年からトリプルアクセルに取り組んでからは、負傷も多くトレーニングの時間も不足した。でも、昨年のオフシーズンで熱心に励んだ練習が今大会につながった。これまで成功率にはムラがあったけど、今大会の成功から、確率をもっと高められるという自信が生まれた」と話す。
試合前練習ではトリプルアクセルで転倒する場面もあったユ・ヨン。「観客の方々が“大丈夫”と応援してくれたのが支えになった。心を落ち着かせてスケートができ、良い結果を出せた。演技中は多くの考えが入り混じったけど、ファンの応援が力になった」と述べた。
そんなユ・ヨンも、キム・ヨナの華麗な演技に魅せられてフィギュアを始めた1人だ。
フィギュアスケート不毛の地である韓国で生まれ、世界の頂点にまで上り詰めたキム・ヨナ。彼女の歩みは多くの後輩たちの道しるべとなったが、他ならぬユ・ヨンも多大な影響を受けた。
偉大な先輩が進んできた道のりに続くべく努力を続けたユ・ヨンには、“第2のキム・ヨナ”という誇るべき愛称が付けられた。本人も「そう呼ばれること自体が光栄だ」と語る。
2人は今大会の表彰式で顔を合わせた。キム・ヨナは後輩へ激励の言葉と人形を手渡すと、演技終了直後で緊張が解けていなかったユ・ヨンは、目の前にいる自身のアイドルの存在に驚きの表情を隠せなかった。
キム・ヨナとの対面に「心からビックリした」と率直に述べたユ・ヨンは、「四大陸選手権でメダルを獲得し、ヨナオンニ(姉さん)からプレゼントまでいただいて、思い出になった。オンニの“おめでとう”という一言に思いを感じた」と話した。
そして、「ヨナオンニは韓国を輝かせた選手だ。ヨナオンニを見てフィギュアを始めた。これからは私が、韓国フィギュアを輝かせる選手になりたい」と、力強く語った。
3月16日からは世界フィギュアスケート選手権が始まる。ユ・ヨンは「プレッシャーに打ち勝つことが重要。メダルの欲はない。ただクリーンな演技を披露して、今シーズンを締めくくりたい」と決意を明かした。
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