日本と同様、韓国でもウィンタースポーツの中で断トツの人気を誇っているのがフィギュアスケートだ。韓国でフィギュアは「ウィンタースポーツの華」とも呼ばれている。
もっとも、十数年前までの韓国は“フィギュア不毛の地”とされていた。そうした状況を一変させたのが、“女王”キム・ヨナの出現だ。
キム・ヨナがシニア・デビューした2006年頃から韓国でもフィギュア熱が高まり、彼女が2010年バンクーバー五輪で金メダルに輝くと、その盛り上がりは頂点に。2014年ソチ五輪でも銀メダルを獲得した不世出の女王によって、韓国でもフィギュアが冬の人気スポーツとなった。
ただ、その割にはフィギュアの競技人口も少ない。
少々古いデータとなるが、2016年度の韓国スケート連盟に登録された選手数は659人に過ぎず、そのうち男子選手はわずか50人しかいなかったという。
日本の競技人口が2015年時点で3555人だったことと比較しても、かなり少ないことがわかるだろう。
韓国ではキム・ヨナの登場によってフィギュアを始めた人々が爆発的に増加したと伝えられているが、選手人口はまだまだ多くはないのだ。
選手が少ないことには、アイスリンクの数が限られていることも関係しているだろう。韓国全国すべてのリンクを合わせても30カ所に届かない。
国土の大きさも異なるため単純比較はできないが、日本スケート連盟が把握しているだけでも128のリンクがある日本と比べてもその差は歴然だ。
フィギュアへの注目度とは裏腹に、環境面ではまだまだ整っていないというのが韓国の現状なのだ。
もっとも、幸いにしてそうした中でも次々と新しい選手が出現している。
イム・ウンス(16歳・シンヒョン高校)、キム・イェリム(16歳・スリ高校)、ユ・ヨン(15歳・クァチョン中学)などから、イ・ヘイン(ハンガン中学)、ウィ・ソヨン、チ・ソヨン(以上、トジャン中学)などが頭角を現してきた。
2014年ソチ五輪を最後に“女王”キム・ヨナが現役生活を終えて以降、韓国フィギュア人気は下落するだろうという憂慮があったが、キム・ヨナを見て育った世代の中から次々と逸材たちが登場し、新たな復興期が訪れた。「韓国フィギュア第2のルネサンス」との声もあるほどだ。
そんな中で今年はソウルで国際スケート連盟(ISU)四大陸フィギュアスケート選手権が開催される。韓国のホームで開かれる四大陸選手権で“キム・ヨナ2世”たちは輝くことができるだろうか。期待は高まるばかりだ。
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