日韓関係の葛藤によって、韓国プロサッカーKリーグのほとんどのクラブが冬季キャンプ地から日本を除外したが、FCソウルだけは違った。
韓国内プロチームのなかで唯一、例年通り鹿児島でキャンプを行う見通しだ。
2019年7月、日本が韓国をホワイト国(輸出優遇国)から除外するとして日韓に葛藤が生じると、日本に対する韓国内の世論が急激に悪化した。
日本製品の不買運動や日本旅行をボイコットする動きが全国的に広がり、スポーツ界にも「NO! JAPAN」の風が吹いた。
それまで毎年、韓国のプロチームは、気候が穏やかで距離も近い日本をキャンプ地として選んできた。しかし世論が変化したことで、Kリーグのほとんどのクラブが日本での合宿をキャンセルした。
その結果、東南アジア地域のタイが新しいキャンプ地として脚光を浴びている。22のプロクラブの半数以上となる13のクラブがタイのチェンマイ、バンコク、チョンブリーなどをキャンプ地に選んだ。
その他のクラブは、中国、ベトナム、ポルトガル、スペイン、アラブ首長国連邦などを選択。いずれにしても“日本離れ”が起こった。
1月28日に行われるアジアサッカー連盟チャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフがあるため、他のクラブよりも一足早くシーズンの準備を始めたFCソウルは、ポルトガルで1次合宿を行った。
一般的に、Kリーグのクラブは1次合宿でコンディションを引き上げ、2次合宿で競技力を引き上げる。そのため2次合宿は、韓国内で気候が比較的暖かい南部地方でキャンプを行い、試合感覚を積むことが多い。
FCソウルもプレーオフを行った後、2次合宿を計画している。
FCソウルの選択肢は、日本の鹿児島だった。FCソウルの関係者は先立って「韓国内の合宿が決まらなかった。気象条件を調べている」と明らかにしたことがある。
しかし1月20日、FCソウルの事情をよく知る関係者は、「1月31日に出国して2月6日に入国する予定で、短い合宿を行う予定」とし、「合宿のスケジュールは昨年12月から決まっていたのだろう」と伝えた。
つまり日本でのキャンプをあらかじめ組んでおいて、韓国内の世論などを見極めながら、最終的に鹿児島での合宿を決定したということになる。
FCソウルは過去10年間、鹿児島でトレーニングに励んできた。チームの伝統を守る点は、プロスポーツにも必要な部分だ。
ただ、まだ日韓関係に対する感情が和らいでいない現状のなかで、韓国世論を無視するような選択はファンの目にどう映るだろうか。
前へ
次へ