FA(フリーエージェント)のリュ・ヒョンジン(32)は、カナダのトロント行きを選択した。
リュ・ヒョンジンの代理人を務めるスコット・ボラス氏は、12月23日(日本時間)にリュ・ヒョンジンとトロント・ブルージェイズ間で4年8000万ドルの契約を締結した。1年平均2000万ドルとなる今回の契約は、歴代韓国人メジャーリーガー最高額となる。
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粘り強いラブコールの末、結実を結んだ。ブルージェイズはストーブリーグの始まりからボラス氏と接触を図り、先発陣強化のためリュ・ヒョンジンが必要だとアピールし、具体的な契約条件も提示していた。
12月9日から13日にかけてサンディエゴで行われたウィンターミーティングでも、ブルージェイズのラブコールは続いた。
ブルージェイズ以外にも、複数の球団がリュ・ヒョンジンの獲得を図り、契約条件も明かしていた。獲得競争の激化により、ブルージェイズはさらに大規模契約を提示し、最終的には彼を獲得することができた。
リュ・ヒョンジンの契約金額である1年2000万ドルは、今回のストーブリーグの先発投手中4位であり、歴代韓国人メジャーリーガーではトップだ。
FAの先発投手中ではゲリット・コール(3633万ドル)、スティーブン・ストラスバーグ(3500万ドル)、ザック・ウィーラー(2360万ドル)に次いで高額であり、アリゾナ・ダイヤモンドバックスと5年8500万ドルで合意したマディソン・バムガーナー(1700万ドル)よりも高い契約金だ。
韓国人メジャーリーガーとしては、2013年にテキサス・レンジャーズと7年1億3000万ドルで契約したチュ・シンス(1年平均1857万ドル)に対し、総額では下回るが、1年平均の額では上回った。また、パク・チャンホは2002年1月に同じくレンジャーズと、5年6500万ドル(1年平均1300万ドル)のFA契約を結んでいる。
新たな挑戦だ。今回、リュ・ヒョンジンはナショナルリーグを離れアメリカンリーグへと渡る。ア・リーグではニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックスなどのチームと年間通して対峙し、強力打者の揃う地域でナ・リーグ出身選手としての能力を証明する必要がある。
リュ・ヒョンジンは2020年3月27日、トロントのロジャース・センターで開かれる2020年シーズンの開幕戦で、レッドソックス相手にデビュー戦を戦う見込みだ。チーム内最高額の年俸をもらうだけに、先発1番手でレッドソックスのエースであるクリス・セールとサウスポー対決を繰り広げる可能性が高い。
ブルージェイズは2019年シーズン、67勝95敗に終わった。毎シーズン優勝候補に挙がり、2013年から2019年の7シーズン地区優勝を果たしたドジャースとは異なり、チームの再構築中にある。
今シーズンはブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(サード)やボー・ビシェット(ショート)、キャバン・ビジオ(セカンド)、ルルデス・グリエル(外野手)など、多くの20代序盤から中盤の選手をグラウンドに立たせ、彼らの潜在力を引き出した。
特にビシェットは、短期間で打率0.311、11本塁打、21打点、OPS(出塁率+長打率)0.930の活躍を披露し、メジャー全体でも注目を浴びた選手だ。
若手の野手陣がポテンシャルを発揮したところで、ブルージェイズはストーブリーグ開幕と同時に先発陣補強に乗り出した。11月5日にはトレードでチェイス・アンダーソンを獲得し、タナー・ロアークとは2年2400万ドルで契約を結んだ。
2020年シーズン、ブルージェイズはリュ・ヒョンジン→アンダーソン→ロアーク→マット・シューメーカー→アンソニー・ケイで先発ローテーションを組むと予想されている。
ブルージェイズがすぐに頂点に立つ可能性は高くない。戦力面で見ても、ヤンキースやレッドソックス、タンパベイ・レイズよりも劣っている。しかし、野手が今後も成長し続け、来シーズンも思い切った投資を行えば、チームの再構築にも終わりが見えるだろう。
リュ・ヒョンジンが結んだ“4年契約”の意味はここにある。
粘り強くエースの威厳を示し続ければ、4年以内にヤンキースと地区優勝をかけて戦ったのち、ワールドシリーズでの優勝も見えてくるはずだ。
歴代韓国人メジャーリーガー最高額となる年俸には、現在と未来に対する期待が同時に込められている。
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