12月9日、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は、ロシアの4年間の主要スポーツ国際大会出場禁止を執行委員会の満場一致で決定した。
国際オリンピック委員会(IOC)がWADAの決定を受け入れた場合、ロシアは今後4年間、代表チームを主要な国際大会に出場させることができないほか、各種大会を開催することもできなくなる。
対象となる大会には、直近の2020年東京五輪も含まれており、ロシアの出場可否は不透明な状況となっている。
この決定を複雑に見つめているチームがある。女子バレーボール韓国代表だ。
それもそのはず、8月に行われた東京五輪世界予選で韓国を上回り出場権を獲得したのが、まさにロシアであるからだ。
当時の対戦で、韓国は早々に2セットを先取しながら第3セット終盤で集中力を欠いてセットを落とすと、ロシアに盛り返されて逆転負けを喫した。
現在、韓国女子バレーが3大会連続のオリンピック出場を決めるためには、2020年1月にタイで行われるアジア地域最終予選を1位で突破しなければならない。
もしロシアの出場が取り消されるとなれば、その出場権が韓国へ移る可能性もある。
しかし、そのシナリオはあまりに他力本願で、不確かだろう。
アメリカのアンチ・ドーピング委員会をはじめ主要団体は、ロシア選手をたとえ制限された個人資格でも出場させるべきでないと要求しているが、WADAは低い水準を敷いている。2018年平昌五輪のようにドーピング規定をすべて通過して潔白が証明できれば、OAR(ロシア出身オリンピック選手)として東京五輪に出場できる可能性もあるのだ。
まだIOCの最終決定は下されていない。各メディアによれば、IOCはWADAの決定に「支持する」との立場を明かしたものの、施行方案まで公式発表はしていない。
ロシアのアンチ・ドーピング委員会(RUSADA)は今回の決定に対し、12月末までにスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ異議申し立てを行うことができる。
一方で、東京五輪出場権をめぐるアジア地域の最終予選は、2020年1月初めから始まる予定だ。わずかな可能性に今後の行方を託すには、時間的な余裕があまりに不足している。
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