飛躍的な観客数増加を果たしたKリーグと対照的に、韓国プロ野球KBOリーグが危機に陥っている。
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3~4年前まで“国民的スポーツ”として崇められていた韓国プロ野球が、近年では相次ぐバッドニュースによってその立場が危ぶまれている。波のように変化の激しいファンの気持ちがいつ変わるかわからない今、以前の姿に戻り、ファンの心を掴むことが早急な任務だ。
一般的なファンの心は純粋だ。選手やチームが窮地に追い込まれればともに戦い抜くことをいとわず、例え三振を10回食らおうとも、ヒット1本が出れば喜びを感じる。
チームと自分自身を過度に同一視することは警戒すべきであるが、それほど熱心に応援してくれるファンの存在は、プロ野球が盛り上がる貴重な財産だ。こうしたファンたちが、チームや選手、韓国プロ野球自体に対して好感を抱き続けるようにする措置が必要だ。
何よりも、韓国プロ野球に所属するすべての球団と選手たちが、ファンたちの熱気に共感していることを知らせる必要がある。今の時代が要求する最も大きな美徳の1つは、“共感能力”であるといえる。
各球団は変わらなければならない。
韓国プロ野球運営を担う理事会(オーナー会議)は、隔たりのないコミュニケーションに慣れていない。上司への服従が絶対の集団で、10数年以上も過ごしていた人たちが役員をやっているのだから、いわゆるトップダウン方式の意思決定に慣れているのだ。
社長や系列会社のトップが、消費者と隔たりなく対話する姿を見せることがないのも同じ脈略だ。毎シーズン終了後、通過儀礼のように行うファンフェスタだけで、ファンとのコミュニケーションの義務を果たしたと錯覚してはならない。より多く交流の場を設けるべきであり、ときには激しい議論の場も作ることも必要だ。
選手個々人の意識改善にも要求を述べたい。
これまで韓国球界でも無名だった選手が、ファンとの出会いに感動した経緯を公開して注目を集めた。大多数の韓国プロ野球選手は、グラウンド内外で自身の名を連呼してくれるファンの応援を渇望している。低い年俸、短期契約、控えに甘んじている選手ほど、優しく手を差し伸べてくれるファンのために奮起を誓うものだ。
しかし、こうした選手がスター選手となり高い年俸をもらうやいなや、“変わってしまった”という話も聞く。スター選手たちは、自分自身の能力だけで巨額を得ているという錯覚から抜け出さなければならない。
近年、多く流れる韓国プロ野球の悪いニュースは、特定の1~2人の選手が起こした大小の問題から触発されるケースが多い。
スター選手が起こした道徳的な問題が、プロ野球選手全体のものとして塗り替えられることもある。もちろん例外的な問題のあるファンもいることもあるが、そうした人はごく少数であるとみなさなければならない。
レギュラーシーズン開幕前やオールスター戦に伴う休息期間を通じて、球団と選手、ファンが一堂に会して対話の時間を設けるのもいい機会だろう。
形式的なメディアデイのようなイベントよりも、長年築かれた縁故に基づいた議論の場が、より大きな共感を呼び起こす可能性もある。
制度改善などによって新たな流れをもたらすよりも、ファンの熱心な気持ちを球団や選手が十分理解して感謝し、共感するという行為のほうが重要なはずだ。
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