中学生ですでに韓国国家代表に選ばれ、2015年に高校生ながら韓国女子アマチュア選手権で優勝。2017年6月には高校生アマながら韓国女子ツアー初優勝を遂げ、翌7月には全米女子オープンで準優勝。その6週間後にも韓国女子ツアーで優勝して、プロ転向する前に2勝を挙げてしまった逸材だ。
プロ転向した昨季も2勝を挙げ、新人王と大賞(年間MVP)に輝いている。アマチュア時代からスーパーエリートで、その愛くるしい笑顔とは対照的な勝負強さを備えていることから“可愛らしき怪物”ともされる。韓国の“黄金世代”は、順調に成長してきたわけだ。
今季は5勝のうち韓国メジャー大会のひとつである「クリスF&C第41回KLPGAチャンピオンシップ」も制したのだから、もはや名実ともに韓国ナンバーワンといっても過言ではないだろう。
そして、当然のごとく注目されているのが来季の主戦場だ。
これまでもキム・ヒョージュ、チョン・インジ、パク・ソンヒョン、イ・ジョンウン6など、韓国で頂点に立った先輩たちが次のステージとして米国女子ツアーに挑戦しているように、チェ・ヘジンもアメリカ挑戦を公言しているが、来季はアメリカと韓国のツアーを行き来する考えだという。
韓国女子ツアー賞金女王として出場できる米国女子メジャー大会はもちろん、韓国企業がタイトルスポンサーを務める試合などにも積極的に参加する。優勝するか、賞金ランキング40位以内に入ることで得られるLPGAツアーメンバーの資格をもって、2021年からアメリカを主戦場にしたいという青写真を描いているという。
「KLPGAとLPGAの来季日程が決まり次第ですが、KLPGAの日程と重ならない場合はできるかぎりアメリカに行く計画。そのために英語の勉強もしています」というチェ・ヘジン。
まだ彼女が中学生だった頃に行われたゴルフ韓国代表常備軍・済州(チェジュ)合宿で話を聞いたときも賢い子だなと感じたが、20歳の若さで頂点に立っても浮かれたところがないのが頼もしい。
いつの日か渋野日向子ら日本の“黄金世代”とアメリカで競い合う日も来るだろう。
本人の計画通りになれば来季はLPGAツアーでもそのプレーを確認できるので、今から注目しておくのも一興かもしれない。
(文=慎 武宏)