ユニークだった点は、モモコさんがインタビューの間、一度も席に座らなかったことだ。
20キロを超える重さのビールサーバーを肩に担いでいたので、席に座って気楽にインタビューをしようとしたが、彼女は遠慮した。仕事の規定上、隣に座ることができないというのだ。客が呼べば近寄って腰を落とし、しゃがんでビールを注ぐ理由も規定のためだった。
ビールガールのアルバイト3年目というモモコさんは、「大学1年生からバイトをしている。母親が以前、ビールガールのアルバイトをしていたことがあって、私を紹介してくれた」ことがビール売り子になったきっかけだという。
球場が仕事場であるだけに、野球を愛するファンでもある。彼女は「読売ジャイアンツのファンだ」と誇らしげに語った。東京ドームは巨人の本拠地だ。
仕事はつらいが、やりがいを感じるときはいつだろうか。
「なぜかお客さんが私の名前を覚えてくれて、次も呼んでくれてビールを買ってくれるときが一番やりがいのある瞬間」
自然に収入に関する話題になった。モモコさんは「収入は悪くない。会社と私が半分ずつ分け合う構造だ」と笑った。
短いインタビューを終えて再び仕事に戻ったモモコさんは、明るい笑みを浮かべながらビール販売を再び始めた。
重いビールサーバーを背負い、野球場のあちこちを歩き回らなければならないため、体力の消耗は大きいだろうが、この日、東京ドームで見かけた数十人のビールガールたちは笑顔を絶やさず、サービスに最善を尽くした。みんながプロだった。