10年経てば山河も変わる。今回のWBSCプレミア12を通じて韓国野球は、マウンドの世代交代にいち早く取り掛からなければならない課題が浮き彫りになった。
韓国野球は2008年北京五輪で全勝優勝を果たしてから、家族単位や女性ファンが急激に増えて、全盛期を迎えた。
その後、オリンピック正式種目から野球が除外されたが、韓国プロ野球KBOリーグの爆発的な人気やアジア大会、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、プレミア12などの国際大会を通じて、野球の熱気が続いた。
しかし2年前に行われたWBCの惨敗をきっかけに、韓国内の野球ブームは勢いを失った。能力の高い人材が減ったことも要因のひとつだ。
とあるプロ野球関係者は「過去には優勝チームでなくても、球団ごとに可能性のある1軍選手が毎年2~3人は出てきた。韓国野球の未来を導いていきそうな選手が次々と登場してきたが、最近は(若手選手に対する)韓国政府の政策の変化と他種目への流出など、複数の要因が絡みあって、急激に減少した」と述べた。
その流れは韓国代表チームの競争力低下にもつながっている。特に短期決戦で最も重要なマウンドはさらにそうだ。
プレミア12を通して野球関係者やファンから出てきた言葉は、「いつまでヤン・ヒョンジョン、キム・グァンヒョンに頼るのか」という懸念混じりの声だった。“2人の左腕エース”と呼ばれる31歳の2人は、韓国代表の軸であり、10年にわたって依存度が非常に高かった。
長い時間、彼らに続く選手を発掘してこなかったことは、韓国野球が直面している悲しい現実だ。
韓国代表を率いるキム・ギョンムン監督も今大会の2人の好投直後に、「ヤン・ヒョンジョン、キム・グァンヒョンが責任感のある姿を見せてくれありがたい」と言いながらも、「(彼らより)若い投手がたくさん出てきてほしい」と投げかけた。
11月16日のスーパーラウンド最終戦として行われた日本戦で、イ・スンホが登板したことには複数の意味があった。すでに決勝で日韓戦が行われることが決まったなかで、この試合は消化試合の性格が強かった。
韓国は“左腕の有望株”イ・スンホを先発カードとして切った。ヤン・ヒョンジョンとキム・グァンヒョンを休ませるという意味合いも大きかったが、試合の重要性が低いためイ・スンホを選択したわけでは決してない。
日韓戦という特殊性とプレッシャー、しかも東京ドーム4万人の観衆の前で20歳のイ・スンホが好投すれば、個人だけでなく、チーム全体として大きな財産になる可能性があった。
しかしイ・スンホは2イニングで6失点し、早々と降板した。貴重な経験だったが、次世代のエースと呼ぶべき若手韓国投手の進む道が遠いことを感じさせた。“右腕の未来”と呼ばれるイ・ヨンハも今大会では先発はなく、ブルペン要員として経験を積むにとどまった。
だからこそ韓国リーグ全体で、次世代のエースを育てるために力を入れるべきだろう。2007年入団同期のヤン・ヒョンジョン、キム・グァンヒョン以降、満25歳未満でリーグ二桁勝利を達成する投手が急激に減ったことが現実だからだ。
単に競争力が下がっただけではなく、故障や管理不十分で成長が止まるなど、内部システムにおいても見直すべき部分が少なくない。現在の状況が続いた場合、KBOリーグの先発投手不足と代表チームの競争力低下が続くことだけは間違いない。
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