プレミア12の実質的な開催国といえる日本でも、興行的な失敗の兆しが現れている。
日本のスーパーラウンド最初の試合が“チケット完売”に失敗し、今大会を通じて、世界中に日本野球の地位を知らしめようという「侍ジャパン」の誇りに大きな傷ができた。
しかし興行について論じる前に、今大会は国際大会の格に合ったシステムの中で行われているかどうか、冷静に見る必要もあるだろう。
【注目】野球人気なし…韓国で行われたプレミア12、観客席はガラガラ
日本は11月11日にZOZOマリンスタジアムで、オーストラリアとスーパーラウンド第1戦を行った。平日夕方の試合だったが、自国で開かれる試合であり、日本国内の野球人気を考慮すれば十分に入場券が完売すると考えられていた。
しかし予想とは異なり、この日の試合は完売に失敗した。約3万人を収容できるマリンスタジアムには、その半分強の1万7819人が入場するにとどまった。試合中継画面を通じても、野球場のあちこちに空席を見つけることができた。
プレミア12を通じて、世界的な野球ブームを作ろうとする日本の計画に、冷水がかけられた状況だ。日本国内でも興行の不振に対する懸念があふれた。
例えば『中日スポーツ』は「試合は1点を争う白熱した展開にもかかわらず、球場の盛り上がりは今ひとつ。侍戦士に力を与えるためにも大観衆が望ましい」と報じた。
予想外の興行不振に慌てた日本が頼りにしているのは、すでにチケットが完売された11月16日19時の日韓戦だけだ。
興行不振の兆しに加え、11月11日の韓国対アメリカの試合における“疑惑の判定”は、大会の格を落とす副作用を生んでいる。
3回裏、1塁走者キム・ハソンが捕手を交わして、スライディングでホームプレートに触れたように見えたが、アウトの判定が出た。韓国はすぐにチャレンジを要求し、映像が確認されることで判定も覆るかと思われたが、そのままアウトとなった。
取材陣はすぐに韓国野球委員会(KBO)関係者を通して、ビデオ判定を行うビデオ判読官(RP)が誰であるかを問い合わせたが、主催者から返ってきた答えは「確認することができない」だった。
KBO関係者も「ソウルで行われた試合では、ビデオ判読官が誰なのか主催側が確認をしてくれた。スーパーラウンドでは、なぜ確認できないとしているのか理解できない」と慌てた。
また、この試合では球審の嶋田哲也をはじめ、3塁塁審にも日本の審判が投入されており、公正性の論議に火をつけた。そもそも今大会に割り当てられた日本人審判は、8人に上る。
プレミア12を通じて、野球の世界化とブーム作りを目指す日本の計画が、スーパーラウンド初日から興行不振と疑惑判定で支障をきたしている。公正を欠いた国際大会は、むしろ、その種目の活性化に悪影響だけ与えるだけだ。
興行を論じる前に大会のシステムを今一度チェックし、公正性を高めるための改善策をとるべきだろう。このままでは日本が追求する野球の世界化において、プレミア12が“玉に瑕”になるだけだ。
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