ファン・ソンホン監督は、指導力がすでに立証された指揮官だ。
浦項(ポハン)でKリーグ1(2013年)、FAカップ(2012、2013年)の優勝を経験しており、2016年にはFCソウルでもKリーグ・チャンピオンに輝くなど、華やかなキャリアを保有している。
特に浦項時代には若い選手たちを成長させて完成度の高いチームを作った経験があり、現在はKリーグ2所属の大田のK1昇格と名誉回復をリードする適任者と期待されている。
ファン監督は昨シーズン、FCソウルを成績不振で更迭される痛みも経験した。不運にも、今年初めから指揮する予定だった中国リーグの延辺FCが解体され、職を失ったこともある。
この1年間に厳しい時期を経験したファン監督の立場としても、再起する機会を得たと見ることができるだろう。
ファン監督が大田をK1昇格に導けば、チームはもちろん個人の名誉回復も同時に実現できる。2002年ワールドカップの4強神話の主役でありスタープレーヤー出身のファン監督は、故郷が大田と隣接した忠清南道(チュンチョン・ナムド)イェサンであり、クラブとしてはシンボル的な面でも意味があり、興行にも大きく役立つものと期待を集めている。
ホームスタジアムの大田ワールドカップ競技場は、2002年ワールドカップで最高の名勝負とされる韓国対イタリア戦が行われた場所なので、ファン監督にとっても感懐が深い。
いずれにしても、大田の急激な変化がKリーグの地形図に変化をもたらすのか、関心が集まっている。
Kリーグに企業クラブが誕生するのは、2014年のソウル・イーランドFC以降、約5年ぶりのことだ。残念ながら、ソウル・イーランドFCはK1昇格が遅々として進まず、創立当初の熱気を維持できずにいる。
大田の場合、新規設立ではなく再スタートの概念であるため、選手団と事務局、ユースチームなどのインフラ、諸施設などの問題も心配ない。
一定部分の変化はあり得るだろうが、変数が少ないというのが長所だ。
しかも大田市は、大田ワールドカップ競技場とクラブハウスなどの運営全権を渡す構想を立てている。ハナ金融グループの投資だけでなく、自主的な収益事業を通じて追加予算まで確保する基礎を作ったと見ることができるだろう。
構想通りに段階を踏んでいけば、大田はKリーグ全体の活力素になる余地はある。企業クラブとして成功の足跡を残せば、既存の市民クラブに大きな刺激になりうるし、他の企業からの積極的な投資も期待できる。Kリーグの地形図を変える可能性が開かれたわけだ。
2019年には大邱(テグ)FCがサッカー専用スタジアムをオープンさせ、Kリーグに新しい風を起こした。2020年には大田がそのバトンを受け継ぐようにしている。