試合を見守ったギャラリーに“中指”を突き立て、韓国プロゴルフ協会(KPGA)から3年間の資格停止という処分を受けたキム・ビオが、海外でも話題だ。
【写真】観客に“中指”を突き立てた韓国人ゴルファー…3年間の資格停止
アメリカの男女プロゴルフ(PGA、LPGA)ツアー解説委員や評論家、選手たちが懲戒について、さまざまな意見を出している。
海外ゴルフ関係者のコメントは、意味がある。キム・ビオは「中学校の時、アメリカに渡り、友達とゴルフをしながらしていた行動が残っていた」などと“文化の違い”を主張していたが、それを現地関係者の言葉を通じて確認できたからだ。
さまざまな意見があったが、海外ゴルフ関係者からは中指ジェスチャーだけで3年間の資格停止は、重すぎる懲戒だという意見が多いように感じる。
ただ海外ゴルフ、特に米国男子ツアーでは簡単に理解することができない韓国男子ツアーの“特殊性”を見落としているのではないかという気もする。
韓国の男女プロゴルフは、スポンサーなしで大会を行うことが難しい構造だ。特にスター選手の不足に苦しむ男子ゴルフは、スポンサーを得ることが難しい。キム・ビオが協会から重い懲戒を受けた理由も、その特殊性を無視して論ずることはできない。
実際にKPGA公式サイトに掲載されたツアー日程からは、来る10月10日から開催される「ジェネシス・チャンピオンシップ」以降のスケジュールが削除された。新設大会を開催する予定だったが、スポンサーを見つけることができず、中止の危機に陥っていることを間接的に公開したわけだ。
そもそも韓国屈指の企業がゴルフ大会を開催する理由は、想像以上に単純だ。企業のVIP顧客に特別な経験をプレゼントする目的に大きい。これは海外ツアーでも大きく変わらないが、女子ゴルフへの関心がはるかに高い韓国の現状を考慮すると、男子ゴルフが感じる危機感が小さくない。
大会を誘致した企業は、VIP顧客、業務パートナーなどに「プロと一緒にラウンドする機会」だけでなく、業界のさまざまな関係者と幅広い社交の場を提供するツールとして、プロアマ大会を活用する。寝食はもちろん、地方で開催される大会では交通費まで支給する。
大会代行会社が「プロアマ大会が終われば、業務全体の90%を消化したことになる」と口を揃える理由も同じだ。
誰が優勝して、どんなプレーでギャラリーを魅了しても、企業の立場としては大きな関心がない。プロアマ大会の参加者が自社に良いイメージを持って帰ってくれるかどうかが、ビジネスの面ではるかに重要なのだ。企業が少なくとも数億ウォン(数千万円)、多くて十数億ウォン(1億数千万円)の出資をするのも、そのためだろう。
プロ選手たちは、「私は最高のプレーだけをする」と考えている。しかし、それ以前に「どんな過程があるからツアー活動ができているのか」も考えておかなければならない。これは、「チームの勝利が最優先」と重ねて強調するプロチームスポーツ(野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールなど)の選手たちの声と文脈を同じくする。
キム・ビオが波紋を起こした後、最も大きな衝撃を受けたのは、大会のタイトルスポンサーだ。
DGB金融グループとボルビック(Volvik)には、数億ウォンを支払ったにもかかわらず、「中指突き立て騒動が起きた大会」という悪印象だけが残った。涼しい秋の気候のもと、最後まで手に汗を握る優勝争いが繰り広げられたが、たった1人の感情的な行動ですべてを失った。
この日まで、KPGA公式サイトに掲載されていたジェネシス・チャンピオンシップ以降の大会スケジュールが消えたのも、無関係ではないだろう。
KPGAヤン・フィブ会長は異例の声明を発表し、謝罪と再発防止を約束した。単純な“悪童の逸脱”として割り切るには、その波紋が致命的すぎるという意味だ。
キム・ビオの行動が、どんな理由があっても正当化できない理由がそこにある。
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