9月29日、チョ・アヨン(19)が韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアー第23戦「OK貯蓄銀行パク・セリ・インビテーショナル」で優勝した。4月に行われた国内開幕戦の「ロッテレンタカーオープン」優勝に次いで、シーズン2勝目となった。
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価値ある優勝だ。
上半期15大会で優勝含む「トップ10」に8回入賞しているチョ・アヨンは、新人賞ポイントを1486点も稼ぎ、イ・スンヨン(1132点)やイム・ヒジョン(890点)らを大きく離している。
チョ・アヨンは下半期最初の大会である第17戦の「済州サンダースマスターズ」で3位に入ったことで、今シーズンの新人賞受賞は確実と見られていた。しかしその後、それまでの活躍が嘘かのように成績は下降線をたどった。第18戦の「ボグナーMBN女子オープン」では26位に沈み、第19戦の「ハイワンリゾートオープン」では早々に脱落している。
続く第20戦の「ハンファクラシックオープン」では手首の負傷によって棄権し、9月初の大会である第21戦の「KGイデイリーオープン」では、52位まで落ち込んだ。
その間、同じ2000年生まれのイム・ヒジョンは「ハイワンリゾート」と第22戦「All for you.レノマチャンピオンシップ」を制覇。1610点を獲得し、チョ・アヨン(1845点)と235点差まで詰め寄った。
そんな状況で迎えた「パク・セリ・インビテーショナル」では、チョ・アヨンとイム・ヒジョンの新人賞争いに注目が集まった。しかし、ふたを開けてみるとチョ・アヨンが全ラウンド通じて先頭を譲らず、ワイヤー・トゥ・ワイヤーの優勝で新人賞ポイント270点を獲得し、すぐに脱落したイム・ヒジョンとの差を見せつけた。
3度の延長の末にチェ・ヘジンを破り優勝を飾っただけに、喜びもひとしおだった。
それまでに陥っていたチョ・アヨンのスランプは何だったのか。第23戦優勝後、彼女が最初に思い浮かべた人物として挙げた、父のチョ・ミンホン(49)さんに話を聞いてみた。
チョさんは、スランプの要因を「フェアウェイキープ率の低下と長いラフに苦しんだことだ」と述べた。「上半期は冬から春にかけてシーズンをこなしたのでラフが短く、横に逸れてもアイアンをしっかり打てばグリーンに乗せられた。しかし、下半期に入りラフが長くなると、パーオン率も落ちてパットにも焦りが出た」とその理由を語った。
スランプに陥った当時は、ラフを克服する方法に没頭した。チョさんは「アヨンがラフから抜け出すノウハウが不足していると感じ、ラフで打つ練習を徹底させた。しかし結果的に手首への負担が大きかった」と述べ、「ラフをどう抜け出すかではなく、いかに正しくフェアウェイへ乗せるかが大事だ」と明かした。
父のアドバイスをもとに、チョ・アヨンは次にドライブショットの練習に取り組んだものの、短期間に技術的な変化が現れるのは簡単ではなかった。
そこで、彼女はドライバーの交換に乗り出した。
チョさんは「以前まではフェアウェイキープ率が高かったのだから、その感覚を取り戻すことが重要だった。そのため、わざとさまざまなメーカーのドライバーを試させた。そのうちの1つのドライバーが想像以上にフィットしたことで、フェアウェイキープ率が改善されると同時に、気持ち良くアイアンを打てるようになった。ホールカップ3~4メートル以内にボールを寄せられ、パットにも自信が戻った」と説明した。
チョ・アヨンは優勝の直後、「父から刺激をもらったことで、何かを見せつけたかった」とコメントしていた。チョさんは幼い頃から、娘のモチベーションを刺激しようと一味違う言動をすることで有名だった。
チョさんは「本人はパットを感覚で打とうとしていたが、私から見てストロークがぶれていた。軌道がそれるのは良くないと小言を言ったこともある」と、笑顔でエピソードを語った。
チョさんは他にも、「わざと強く刺激したこともある。『必死にやっているのに、父親がなぜそうするのか』と思う気持ちもわかるが、親の立場では仕方のないことだ」と話した。そして、「アヨンには感心した。他人と同じことをやっては何も変わらないということを、自らよく理解している。今回(不振の際に)感じたことを教訓に、下半期残りの大会をよりよくこなしていくべきだ」とアドバイスした。
長い不振とライバルの躍進で、新人賞受賞を前にピンチが訪れたチョ・アヨン。だが、父の助言で見事スランプを脱し、“スーパールーキー”らしく再び新人賞へ向かって立ち上がった。
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