今シーズン開幕序盤、マルセリーノ・ガルシア・トラル前監督の下でイ・ガンインの出場時間は、ラ・リーガ第3節マジョルカ戦のわずか6分にとどまってしまったのだ。
バレンシアは昨シーズンのコパ・デル・レイ優勝という実績に加え、今シーズンはUEFAチャンピオンズリーグに出場することもあり、マルセリーノ前監督は潜在能力のある若手よりも経験と安心感のある選手起用にこだわった。
しかし9月、イ・ガンインにチャンスが訪れた。
ピーター・リム会長との関係悪化でマルセリーノ監督が解任され、世代別代表監督の経験があるセラーデス監督を後任として招聘したのだ。
以降、イ・ガンインは9月15日のラ・リーガ第4節バルセロナ戦での途中出場を皮切りに、UEFAチャンピオンズリーグのチェルシー戦でCLデビューを飾った。その後もレガネス戦で31分、ヘタフェ戦で73分と、出場時間を着実に増やしている。
新監督の下で、イ・ガンインは自信のポテンシャルをいかんなく発揮している。
セラーデス監督は4-4-2の左サイドでイ・ガンインを起用しているが、中央にも自由に動けるようにすることで、彼の持つの鋭さを積極的に生かしている。
セラーデス監督の手腕により、イ・ガンインはさらなる自信を得た。彼のプレーが今一つでも、チームワークに原因を探すこともできる。サポーターが厳しい声を上げることもあるが、イ・ガンイン自らがヘタフェ戦での初ゴールによって、その懸念を早々と払いのけた。
たったひとつのゴールかもしれない。けれど、信頼と希望を感じさせる価値あるゴールだった。