サッカー韓国代表を率いるパウロ・ベント監督は、今年1月のアジアカップで8強脱落し、「アジアサッカーを知らない」という批判に直面した。
韓国と試合するとき、対戦相手が守備を密集させて臨んだにもかかわらず、それを崩すことができず、準々決勝ではカタールのミドルシュート一発で敗れたからだ。
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ベント監督は昨年8月の就任当時から、ボール支配率を高めるサッカーをテーマにしてきた。GKがボールを手にしたとき、センターバック2人がGKの両サイドに立ち、短いパスを受けてMFにボールを送る、いわゆる“後方ビルドアップ”は、ベント・サッカーを説明する代表的なシーンとなった。
スペインのFCバルセロナで見られるようなパスワーク中心のサッカーが、ついに韓国代表チームにも実装されるように思えた。
しかし韓国人選手はアジアの上位圏チームの守備を崩すほど、技術が精密なわけではない。
アジアカップの決勝トーナメント進出を決めて迎えたグループリーグ最終戦で対戦した中国を除き、フィリピン、キルギス、バーレーン、カタールなどは、むしろ韓国のシェアサッカーを待っていた。ボールの支配率は低くても、素早いカウンターとミドルシュートで韓国を攻略した。
ならば韓国も相手の守備を一度に崩せる、線の太いサッカーを用意する必要がある。ボール支配率は無意味だ。
これまでベント監督はキム・シンウクやソク・ヒョンジュンなどの長身FWを招集することなく、自分のスタイルを貫いてきたが、結局カタール戦で体面を保つことができなかった。8強脱落の危機に直面すると、DFキム・ミンジェを前線に置き、高いロングパスを送るパワープレーを狙った。「そんなことをするのであれば、なぜキム・シンウクやソク・ヒョンジュンをエントリーから除外したのか」との批判があふれた。
ベント監督は、来る9月から新しい挑戦を始める。
9月5日にジョージアと親善試合を行った後、9月10日のトルクメニスタン戦を皮切りに、2022年カタールW杯アジア2次予選に挑む。
トルクメニスタンはグループHで、韓国、レバノン、北朝鮮の次であるポット4のチームだが、楽な相手と見るのは難しい。1月のアジアカップで日本と激戦を繰り広げ、2-3で惜しくも敗れた。カウンターを通じたミドルシュートには威力があった。9月10日の試合ではホームのアドバンテージを武器に、粘り強い勝負に持ち込むと思われる。
だが新たな挑戦を控え、ベント監督は変わった。
中国スーパーリーグで大活躍中の長身FWキム・シンウクを招集すると、「今までのストライカーとは異なるタイプであることは明らかである」とし、「キム・シンウクをよく生かす組み合わせを見つける」と明かした。自分のスタイルにキム・シンウクが溶け込ませるのではなく、キム・シンウクの活用法を研究するというメッセージだった。
さらにMF12人のうち、チョン・ウヨンとペク・スンホを除く10人を攻撃型あるいはウインガーから選び、その日のコンディションの良い選手を起用したいと明らかにした。
ベント監督は9月の招集メンバーに26人を選抜した。トルクメニスタンの全エントリーは23人だ。FW、あるいはMFから3人を抜くという話だ。アジアの相手チームの密集守備を破壊することに最大の焦点を置いている。多様なチャンネルを想定して、相手の密集守備を突破しようとする意図が見える。
広大なアジア大陸の特性についても熟慮している。
ヨーロッパの場合、ロシアやトルコを除いて、ワールドカップ予選での移動や時差による変数がほとんどない。国同士が近く、移動や天候の問題が発生しないのだ。食べ物の問題もそれほどない。しかしアジアは違う。韓国で中東まで飛行機で10時間ほどもかかる。時差も5時間あり、天候も国ごとに異なる。選手たちはサッカーの前に、環境に適応することから始めなければならない。
ベント監督も「アジアとヨーロッパは違う。移動時間や距離、時差まで変数がはるかに多く、その部分でたくさん悩んだ」と明らかにした。何人かの選手たちのコンディションが落ちても、他の選手たちに置き換えるために26人を呼んだということだ。
トルクメニスタンはもちろん、10月の北朝鮮、11月のレバノンも密集守備で韓国との試合に臨むだろう。アジアカップの失敗を繰り返さないという覚悟が、ベント監督の準備から見えてくる。
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