明確なライバルのいない「ワントップ体制」へと変わりつつある。
最大のライバルが負傷しながら、本格的な“自分との戦い”に入った。ここまで積み上げた成果を最後まで維持すれば、歴史に残る大業を成す。
ロサンゼルス・ドジャースのリュ・ヒョンジンとナショナルリーグのサイ・ヤング賞を競争しているマックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)が、再び負傷者リスト(IL)に上がった。
去る7月13日(日本時間)、背中の負傷で10日間ほどILに載り、オールスター戦にも参加しなかったシャーザーは、その後右肩にも違和感があって幹細胞注射を実施。7月26日のコロラド・ロッキーズ戦で復帰したが、誰が見ても100%とは言い難い投球内容だった。5イニングを投げるに終わり、7月30日、再び背中の痛みでILに登録されてしまった。
復帰時期は未定。ナショナルズは負傷再発防止に焦点を当てて、完璧な状態でシャーザーのトレーニングを再開するという方針だ。
シャーザーが離脱したことで、リュ・ヒョンジンは8月1日のロッキーズ戦で、イニング部門においてもシャーザーを追い越す可能性が高い。同試合で5イニングを消化すれば、シャーザーを引き離す。
防御率部門では7月30日時点で、シャーザーを含む2位グループと約0.7の違いを見せている(リュ1.74、シャーザー2.41)。レギュラーシーズン終了まで残り10回ほどの先発を無事に通過すれば、2019年の最高の投手に輝くことができる。
スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)とジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)の最近の勢いも軽視できないが、現実的に彼らがリュ・ヒョンジンと比肩するためには、残りの試合数が多くない。何よりも、投手を評価する最も重要な指標である防御率でリュ・ヒョンジンは、ストラスバーグ(3.26)とデグロム(2.86)を圧倒している。
現時点でナショナルリーグのサイ・ヤング賞候補の1位は、間違いなくリュ・ヒョンジンだ。競争相手を意識する必要もないほど独走状態である。
だからといって、油断していい状況ではない。レギュラーシーズン最終日の9月30日までの約2カ月間、コンディションを維持してマウンドに上がらなければならない。最近になって増えた相手チームの変則戦略にも賢明に対処しなければならない。
去る7月20日のマイアミ・マーリンズ戦と7月27日のナショナルズ戦でリュ・ヒョンジンを相手にした打者は、極端なコンタクト中心のスイングをしたり、積極的にバントをしたりした。リュ・ヒョンジンとドジャースを徹底分析したように、大量得点ではなく、1点を奪うことに重点を置く野球をした。
守備力の高いリュ・ヒョンジンにとっては、頻繁なバントはむしろ投球数を節約できる好材料になるかもしれない。しかし問題は、ドジャースの内野陣だ。マルチポジション消化と過度なシフトによる混乱を減らすべき時点といえる。相手の戦略に合わせて内野陣の安定化を図るデーブ・ロバーツ監督の決断が必要だ。
ペナントレースはよくマラソンに例えられる。
サイ・ヤング賞やMVPを目指して走る選手は、7カ月もの間、トップを走り続ける必要がある特級マラソンランナーだ。一瞬でも停滞すれば先頭グループから遠ざかり、負傷で長期離脱すると目標を達成することができない。
最も優れながら、最も安定していてこそ頂点に立つ。8月1日、「魔の区間」であるロッキー山脈の登頂に成功すれば、リュ・ヒョンジンはサイ・ヤング賞に向けた“詰めの区間”をよりスムーズに通過することができる。
前へ
次へ