地元の世界水泳で惨敗に終わった韓国競泳、専門家が見た東京五輪の展望と宿題は?

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地元開催の世界水泳選手権で苦味を味わった韓国水泳が、2020年東京五輪に向けて新しい一歩を踏み出す。

光州(クァンジュ)で行われた2019FIN(国際水泳連盟)界水泳選手権大会は、韓国水泳の物足りなさと可能性の両方が明らかになった大会だった。

第1週の飛び込み競技では根気強く育ててきた代表チームの成果を確認することができた。キム・スジが銅メダル、ウ・ハラムが五輪出場権を獲得するなど、東京五輪に向けて大きな絵を描いた。

一方、第2週の競泳では“看板スター”だったキム・ソヨンもメダル圏内への進入に失敗し、その他の選手は誰一人決勝進出した者がいなかったほど、成績が良くなかった。

(関連記事:屈辱の世界水泳「開催国なのに夜の中継になると韓国選手がいなくなる」のはなぜ?

ただ、女子リレー400mと男子自由型50m、男子リレー800m、混合リレー400m、女子メドレーリレー400mで5つの韓国記録を塗り替えた。

(写真提供=2019光州世界水泳選手権組織委員会)キム・ソヨン

光州大会で確認できた韓国水泳の“現在地”

競泳種目のテレビ解説者らは、今大会を韓国代表の現状を確認できる機会だったと見ている。

韓国水泳界の不世出のスターであるパク・テファンが出場しなかった中、国際舞台を初めて経験する選手が多かったという点が情状酌量された。

MBCのナム・ユソン解説委員は語っている。

「パク・テファンという五輪メダリストがいたため、韓国水泳の現在の水準を客観的に見ることができなかった。しかし、パク・テファンは、我が国の水泳育成システムが構造的に育てた選手ではなく、天から急に落ちてきた才能と同然だった。彼の気質や特性を韓国水泳界はうまく編入させることができなかった」と語った。

そして「今年5月に開かれた韓国代表2次選抜戦のときのような記録を出せない選手が多かった。自国で開催されたとはいえ、世界水泳のような国際大会は雰囲気がまったく違う。午前に開かれる最初のレースで全力投球しなければならなかったが、プールを転々としなければならない国内練習の環境上、そうした訓練も十分できなかった」と、敗因を分析した。

KBSのパン・スンフン解説委員も「韓国ができなかったわけではない。最初からメダルを取るのは難しいと思っていた。国際大会の経験がない状況で、体の大きい海外選手たちを見ると、威圧を感じざるを得ない。韓国代表として初出場する選手が多かったため、競技場の中で準備できない部分が多かっただろう」と診断した。

キム・ソヨン、東京メダル? 「十分可能だ」

今大会でキム・ソヨンの最高成績は、女子個人メドレー200m6位(2分10秒12)だった。昨年アジア大会での韓国記録(2分08秒34)はもちろん、今季の自己最高記録(2分9秒97)と比較しても、記録は伸び悩んだ。

そんな彼女に対して、“技量の停滞”を懸念する声も出ているが、解説者たちはむしろ来年の東京五輪のための良い予防注射だったと判断した。

2004年アテネ五輪・女子個人メドレー400mで韓国初の五輪決勝進出を成し遂げたナム・ユソン解説委員は「個人メドレーは厳しい種目だ。泳法をひとつ補完したとしても、それが4つの泳法を合わせた記録に表れるというわけでもない。平泳ぎのために筋力練習をたくさんし、その練習過程で十分に良くなったことを確認したものの、それが成績に反映されるには時間がかかる」として、ハンガリーの“鉄の女” ホッスー・カティンカを例に挙げた。

キム・ソヨンのように平泳ぎに弱点を露呈したカティンカは、パワフルな泳法を身につけて成績が安定するまで、実に3年の時間がかかったといわれている。

パン・スンフン解説委員は「キム・ソヨンは韓国で最高の選手だが、世界トップクラスの選手たちと頻繁に戦ってきたわけでもない。選手が良いと感じても、仕方なく体が反応するようになっている。経験があってこそ、大きな舞台でも平常心で挑むこができる」とし、「すでに国内レベルから抜け出た選手であるだけに、海外に出てその実力に見合ったスパーリングパートナーを付けてあげるのが良いと思う」と提案した。

「パク・テファンも一定水準に達した後は、海外クラブのテストを受け、その実力と見合う選手と練習した。同じ種目のライバル選手たちと一緒に練習することはメリットも多い。海外有数のコーチもいるので、助言を得ることも考慮したらどうか」とも付け加えた。

東京まで1年、これだけは補完しなければ

韓国の飛び込みは、今大会で不毛の地に咲いたつぼみであることを証明した。これを契機に飛び込み選手層の底辺を拡大したいというのが、関係者たちの願いだ。

MBCのキム・ヒョンスク解説委員は「ロシア、中国、日本など周辺アジア諸国に比べ、韓国は選手層が薄い。ひとつの種目に多く出場する他国と違って、韓国は全種目を合わせて8人だけだ。そうした状況であっても、1~2人ずつ着実に選手たちが頭角を現して国際大会で成績を出している。もうすぐソウルで全国体育大会が開かれるが、ダイビング施設がとても特殊なため、開催地を移すという話も出ている。それほどダイビング選手たちが練習できる場所が足りないということだ。若い選手たちが国際経験をもっとたくさん積めるように、底辺を広げていくことを願っている」と話す。

競泳の解説委員たちも、韓国代表の練習システムについて口を揃えた。

パン・スンフン解説委員は「韓国水泳連盟が現場指導者の意見を収斂することは多いが、内部的な問題があるため実行するまでにはつながっていない」と指摘した。

ナム・ユソン解説委員はFIFA U-20ワールドカップで準優勝したサッカーのU-20韓国代表を引き合いに出しながら、「韓国選手たちはほとんど最上のペースを維持していたが、レース終盤まで持ちこたえられなかった。国際大会でも十分に実力を発揮できる選手たちだ。彼ら彼女らが互いに頼り、刺激し、競争する過程でシナジー効果が得られる。有望株を多数発掘し、東京五輪に備えるべきだ」と声を高めた。

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