史上初の優勝まで、あと1試合だ。韓国サッカーの歴史を塗り替える時間が迫っている。
チョン・ジョンヨン監督率いるU-20韓国代表は日本時間6月16日午前1時、ポーランドで行われるU-20ワールドカップ決勝戦で、東欧の強豪ウクライナと対戦する。優勝への最後の関門だ。
U-20韓国代表は、すでに韓国サッカー史にその名を刻んだ。男子チームとして初めて、FIFA主催大会の決勝に進出した。韓国は2002年日韓W杯、1983年U-20ワールドカップでベスト4に進出したが、決勝に上がることはできなかった。チョン・ジョンヨン監督率いるU-20韓国代表は、すでに新しい歴史を作って称賛を受けている。
しかし、ここで終わることはできない。ウクライナを下すことができれば、韓国はアジアの新しい歴史まで作ることができる。
これまでU-20ワールドカップで、アジアのチームが優勝したことはない。1981年にカタールが、1999年に日本が決勝に進出したが、それぞれドイツ、スペインに敗れて準優勝に終わった。そんな優勝トロフィーの獲得に、韓国が挑戦するのだ。あいにく今回の相手も欧州のチームだが、アジアの自尊心を持って試合に臨む。
U-20韓国代表は6月12日、決勝戦の舞台であるウッチに入った。6月14日までの計3日間、休息とトレーニングをしてコンディションを整える。準々決勝から準決勝に向かう日程が2日間だったことを考えると、十分に長い時間である。
FWオ・セフンは「3日あれば十分だ。僕もそうだし、他の選手たちもまだ体力的な余裕がある。決勝戦をしっかり準備できる」と自信を表わした。オ・セフンの言葉のように、韓国は今大会で相手より多く走るサッカーで良い成績を出してきた。フィジカルコーチのオ・ソンファンの指導の下、強靭な体力を作ってきただけに優勝を確信している。
決勝の相手ウクライナは、韓国とスタイルが似ている。
守備時は5バック、攻撃のときは3バックに移行する点がそっくりだ。まず強力な守備で失点せず、迅速なカウンターとセットピースで相手ゴールを奪うタイプのチームといえる。韓国のように走る量も多く、手強い相手だ。
それでも違いはある。韓国は主に3-5-2を使うが、ウクライナは5-4-1、あるいは3-4-3を駆使する。
韓国は、プレーメーカーであるイ・ガンインへの依存度が大きい。スポーツデータ収集・分析を専門とするSportsMaticsによると、イ・ガンインは今大会6試合でなんと29本の“チャレンジパス”を試みた。ボールタッチの回数もチーム内で圧倒的で、韓国全体の17.2%に達する。チームで最も多くボールに触れながら、1ゴール4アシストを記録しており、決勝戦でもイ・ガンインの活躍次第で結果が変わるといっていいかもしれない。
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そんな韓国とは異なり、ウクライナには目立った天才型の選手はいない。
ストライカーのダニョロ・シカンはここまで4ゴールを記録したものの、イ・ガンインのように試合を支配するタイプではない。ただ決定力が非常に高いだけに、ペナルティボックス内で警戒を緩めてはならない。小さな隙間でも、すぐに失点の危機につながる。守備の際、いかに集中力を維持できるかが勝負のカギとなりそうだ。
韓国とウクライナは、3月にスペインで対戦したことがある。