米国女子ツアー進出の時期やオリンピック代表の話をすると、決まりが悪そうな表情を隠せない。しっかりと自分の考えを話すが、称賛されると小さくなる。
韓国女子ツアーで、今や“女王”と呼んでも過言ではないチェ・ヘジン(19)の話だ。
チェ・ヘジンは6月9日に幕を閉じた「エスオイル・チャンピオンシップ」で、通算12アンダーの逆転優勝を果たした。韓国女子ツアー最多勝ランキング1位(3勝)で、独走体勢に入っている。チェ・ヘジンは「シーズンが始まる前に立てた目標は昨年よりも良い成績を残すことだったが、すでに勝数(2勝)は上回った。まだシーズンがたくさん残っているので、次の目標を設定する」と述べた。
賞金ランキングや平均ストローク、大賞ポイントなど、最高の選手として評価する指標は多いが、チェ・ヘジンは「賞金は私が管理していないし、これといった意欲がない。昨年より良い成績を収めることをシーズンの目標にした理由を考えてみると、勝利数に意欲があるようだ」と、優勝に向けた挑戦を止めない意思を明らかにした。
今回の優勝は、不足していた粘り強さを克服するために、着実に努力を重ねてきた結果として手にした。実際チェ・ヘジンは、今年出場した10大会中、4大会でトップ10に入り、そのうち3大会で優勝した。シーズン優勝確率3割と、なかなか達成するのが難しい記録だ。逆に見れば、10大会のうち6大会でトップ10入りに失敗したということになる。浮き沈みが激しいということだ。大賞ポイントは現在192点で、今季優勝がないパク・チェユンの236点より遅れをとっているのも、そのためといえる。
チェ・ヘジンは「ショットの感触は全体的に悪くはない。以前は試合が上手くいかなくてもスコアを作る能力があった。感触も良くパットも良ければ優勝したが、駄目なときは上手くできていたことも駄目になる。流れが切れて、起伏が激しい試合をしている。優勝も重要だが、もっと着実な、安定感のある選手になりたい」と話した。全米女子オープンを見送って韓国女子ツアーに専念した理由は、「足りない部分を補おう」という特別な勝負根性が込められていたのだ。
それとともにイ・ジョンウン6を例に挙げた。イ・ジョンウンはプロ2年目だった2017年シーズンに4勝をあげ、優勝賞金11億4905万2534ウォン(約1億1500万円)、大賞ポイント691点、平均ストローク69.8、トップ10回数率74%など、主要部門を席巻した。
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今シーズンを前に2年目のジンクスを懸念されたチェ・ヘジンは、「(イ・)ジョンウンオンニ(姉さんという意味)は本当にハードに練習する選手のようだ。ついていこうと努力している。2年目にオンニが送ったような、いい1年を送りたい。2年目なので、良い成績を続けていきたい」と強調した。
まだシーズンの折り返しにも入っていない時点で、3勝と賞金ランキング1位となり、自分が立てた目標を現実のものにしている。
当然のように、アメリカ進出や、来年の世界ランキング順位に応じて出場権が与えられる2020年東京五輪出場に期待が生じるしかない。そんな話になるたびにチェ・ヘジンは、決まりが悪そうな表情を隠せない。
彼女は「夢は持っているが、やりたいからといってできるものではないので、黙々と一歩ずつ近づいていきたい。一生懸命していれば、結果もついてくるのでは」と、即答を避けた。ファンクラブ名でもある“ワールドクイーン”になる時期を設定しているかどうかを尋ねると、鼻の先から頬まで赤くした。
チェ・ヘジンは「あまりにも過大な別名をつけてくれて、身の置き所がない。とてもありがたく、期待に応えなければならないという考えを持っている」と言いながらも、「表現が難しい。ほめられるたびに決まりが悪く思うし、いろいろな感情が交差する。表現が下手でファンに申し訳ない」と笑った。
フェアウェイでは誰も触れることができない勝負師の技量を見せるが、称賛の前では限りなく小さくなる“ツンデレ”の魅力を持つチェ・ヘジン。それでも彼女が「ゴルフの天才」であることは間違いない。
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