「そんな大会のために来たのか」
5月22日、ポーランドの首都ワルシャワにあるショパン国際空港から市内に向かおうと乗ったタクシーの運転手は、FIFA U-20ワールドカップの存在自体を知らなかった。
「U-20ワールドカップの取材のために来た」という記者の言葉に、彼は「そんな大会があることすら知らなかった。私はサッカーが好きでスタジアムに行くこともあるが、ニュースで見た記憶もない」と聞き返した。
ホテルのチェックインを手伝ってくれたスタッフも、「そのために来るほど韓国はサッカーの人気がすごいのか?」と笑って尋ねた。夕方のテレビニュースでも、短い報道がされただけだ。開幕が目前に迫ったものの、ポーランドではU-20ワールドカップが大きな話題になっていない雰囲気だった。
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ただワルシャワの無関心はある程度、納得ができる。U-20ワールドカップは、もともと大きな大会ではないうえに、ワルシャワは開催都市ではないからだ。今大会は、6つの都市で行われる。北部のグディニャ、南部のティヒとビエルスコ・ビャワ、東部のルブリン、そして国土の中心に位置するウッチとブィドゴシュチュだ。ポーランドの首都で最大の都市ワルシャワでは、大会が行われないので、人々がその存在を知らなくても理解できる。
2年前に韓国で開かれた同大会でも、首都ソウルは開催都市から除外された。当時は天安(チョンアン)と太田(テジョン)、仁川(インチョン)、西帰浦(ソグィポ)、全州(チョンジュ)、水原(スウォン)で試合が行われた。最大の都市だからといって、必ずしも開催都市になるとは限らない。
ポーランドはU-20ワールドカップの誘致で、インドと競った。ポーランドは誘致合戦に勝てるように、最適な6つの都市を選定した。スタジアムの施設や練習場、宿泊施設、交通機関などをすべて考慮した結果だ。
ワルシャワには6万人を収容できるワルシャワ国立競技場がある。しかしポーランドではU-20ワールドカップに多くの観客を望めないため、2万席以下の小型競技場を選択した。実際に決勝戦が行われるウッチのスタジアムの収容人数は、1万8008人に過ぎない。最も大きいブィドゴシュチュのザヴィシャ・ブィドゴシュチュで2万247席だ。
ポーランド代表チームが大きな注目を受けられないことも、大会に対する無関心の理由かもしれない。ポーランドは開催国の資格でU-20ワールドカップに進出した。形式的に参加した欧州サッカー連盟(UEFA)U-19選手権予選では、上位8チームの中に入らなかった。実力が優れているとは言い難く、自国でも関心を受けられない状況だ。
ポーランドがU-20ワールドカップで4強以上の成績を記録したのは、1983年が最後。さらに目立つスター選手もおらず、注目が集まりにくい。2年前の韓国大会でイ・スンウとペク・スンホのような若いスターが登場し、大きな話題となった状況とは、180度違う雰囲気だ。
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