ソン・フンミン(トッテナム)は生涯初となるUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦に、先発出場できるだろうか。
彼が今シーズンに見せた活躍を考えると、先発出場に異議を唱えることは難しい。2018-2019シーズンの公式試合で計20得点をあげたソン・フンミンは、特にチャンピオンズリーグ8強戦では強敵マンチェスター・シティを相手に第1~2戦で計3得点をあげ、トッテナムの快進撃を導いた。ソン・フンミンが今季記録したチャンピオンズリーグの4得点は、すべて決勝トーナメントで生まれたゴールだ。
ソン・フンミンは5月11日、トッテナムのファンが選んだ「今季の選手」と「今季のベストゴール」賞を獲得した。ハリー・ケインやデレ・アリといったトッテナムを象徴するイングランド代表選手が負傷で苦しむなか、ソン・フンミンはトッテナムが1882年に創立後初めてCL決勝に進出する決定的な役割を果たした。
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ただ、評価の期間をここ数試合に限定すると、状況は変わる。ソン・フンミンのゴール感覚が停滞する一方で、ルーカス・モウラの上昇がはっきりと目に見えているからだ。
トッテナムはここ数年間、ハリー・ケインをワントップに置き、その後をソン・フンミンとクリスティアン・エリクセン、デレ・アリが支える布陣で攻撃を担った。4人のユニホームの最初の文字を取った「D・E・S・Kライン」がそれだ。
チャンピオンズリーグ決勝戦という試合の重要性と、相手が今季プレミアリーグでトッテナムを2度も2-1で下したリバプールという点を考慮すると、トッテナムは4-2-3-1のフォーメーションで試合に臨む可能性が高い。仮にそうなると、ワントップと3人の2列目が必要だ。今回も「D・E・S・Kライン」が使われると予想される理由だ。
しかしトッテナムの“うれしい悩み”は、ルーカス・モウラまでコンディションが良いという点にある。
今シーズン中盤からソン・フンミンのバックアップとしてプレーしていた彼は、4月13日に行われたプレミアリーグのハダースフィールド・タウン戦でハットトリックを達成すると、5月9日のチャンピオンズリーグ準決勝・第2戦ではアヤックスを相手に、後半だけで3得点をあげる奇跡の立役者となった。
マンチェスター・シティとの準々決勝の主役がソン・フンミンといえるのであれば、アヤックスとの準決勝の主役は間違いなくルーカス・モウラだった。
そのためトッテナムの悩みが始まる。
負傷中の主砲ハリー・ケインが決勝戦が行われるまでの3週間で、復帰すると予測されている。すると「D・E・S・Kライン」の4人にルーカス・モウラを含めた5人が、攻撃陣の候補となる。アヤックスとの準決勝で2アシストを記録したデレ・アリ、フリーキックとクロスが正確でアシストを生み出すクリスティアン・エリクセンの2人は、ベンチに下げることが難しい。
つまりハリー・ケインとソン・フンミン、ルーカス・モウラのなかから1人はベンチに待機するということだ。
マンチェスター・ユナイテッドの前監督ジョゼ・モウリーニョは、「トッテナムはケインを取り戻すだろう。モウラを外すことも不可能だ」とし、「モウラとソン・フンミンが一緒に出るか、モウラが出場してソン・フンミンが犠牲になるだろう。マウリシオ・ポチェッティーノ監督がモウラを外すのは本当に難しいと考える」と展望した。彼の発言は、ソン・フンミンのベンチスタートの可能性を含んでいる。
一方で、元イングランド代表の英『BT Sport』解説委員であるオーウェン・ハーグリーヴスは、トッテナムがより攻撃的な4-1-4-1のフォーメーションを使いながら、5人の選手全員を1~2列目に起用すると予想した。リバプールの守備を崩すために、トッテナムが攻撃的な作戦をとるという意味だ。
ソン・フンミンの存在感、ケインの復帰、モウラの上昇と、3人の状況や特徴はそれぞれ異なる。すでに他の試合が残っていない状況で、3週間後のCL決勝戦に臨むポチェッティーノ監督の判断に、全世界が注目している。
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