世界で最も人気のあるサッカーコンテンツは、イングランド・プレミアリーグだ。2016-2017から2018-2019シーズンまで、プレミアリーグが全世界で得た中継料は69億ドル(約7661億円)に達する。1シーズン当たり2554億円もの収入となる。
一方で2016-2017シーズン、スペインのラ・リーガの中継料は13億8750万ユーロ(約1738億円)だった。ラ・リーガも世界的に有名で認知度の高いリーグだが、プレミアリーグと比較すると見劣りするのが現実だ。
実力だけを見ると、議論の余地がある。欧州サッカー連盟(UEFA)リーグランキングを見ると、スペインが9万7569点で1位となっている。2位イングランド(7万5605点)を大きく上回っている。
今季チャンピオンズリーグでもレアルマドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリードなど3チームが16強に上がった。UEFAヨーロッパリーグでもセビージャ、レアル・ベティス、バレンシア、ビジャレアルが優勝を目指している。ラ・リーガ所属チームは、欧州クラブ大会でいつも好成績を残している。
ただ人気面では、プレミアリーグが先行しているのが事実だ。
まずプレミアリーグは、英語のコンテンツという点が大きい。事実上の全世界共通語といえる英語がベースであるため、親近感を持ちやすい。一方のラ・リーガは、スペイン語がベースであるため馴染みが薄くなる。
またレアルとバルセロナが二分するラ・リーガと違って、プレミアリーグが複数のチームが優勝争いをしている点も影響しているといえるかもしれない。プレミアリーグではマンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、リバプール、トッテナムなど、さまざまなチームの実力が拮抗している。2015-2016シーズンにはレスター・シティが優勝する波乱も起こり、世界的な関心を集めた。
対するラ・リーガは、2003-2004シーズンにバレンシアがリーグ優勝を果たして以来、レアルとバルセロナが主なチャンピオンとなった。2013-2014シーズンにアトレティコが優勝したのが、唯一の異変だった。
韓国国内でも、ラ・リーガよりプレミアリーグの人気が上回っている。前述したいくつかの理由もあるが、何よりも韓国人選手の影響力が絶対的だ。
プレミアリーグはパク・チソンやイ・ヨンピョをはじめ、キ・ソンヨン、イ・チョンヨン、そしてソン・フンミンを経て、韓国サッカーファンに馴染みの深い舞台となった。最近はソン・フンミンがプレミアリーグ最高レベルのFWに成長し、より大きな人気を集めている。
視聴率やインターネット中継の視聴者数を比較してみると、韓国のプロサッカーとは比較にならないほど関心が高い。
一方でラ・リーガは、韓国人選手との縁が深くない。スタートを切ったイ・チョンス(レアル・ソシエダ)をはじめ、イ・ホジン(ラシン・サンタンデール)、パク・チュヨン(セルタ・デ・ビーゴ)、キム・ヨンギュ(アルメリア)などが頭角を現わさなかった。
試合のたびに出場して活躍する韓国人選手がいないため、ラ・リーガ自体に注目が集まるチャンスがなかったわけだ。韓国人選手が活躍してこそTV中継もされ、いくつかのチームが関心を受ける好循環が生まれる。レアルとバルセロナという世界的なクラブはあるが、限界がはっきりしている。
だからこそラ・リーガは、アジアサッカーの市場開拓に関心が多い。