性的暴行や不祥事で揺れる韓国スポーツ界、このままでは“改革”が進まない

2019年02月13日 スポーツ一般
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暴力や性的暴行で“廃墟”となった韓国スポーツ界。韓国国民の冷たい視線を受けるなかで、政府と大韓体育会が舌戦と神経戦を繰り広げながら対立を強めている。

感情的な争いで、韓国スポーツ界の“改革”の機会を逃すのではないかとの懸念も出てきた。

去る2月11日、忠清北道・鎮川(チンチョン)選手村で開かれた大韓体育会代議員総会は、文化体育観光部が出した革新案を公開批判する場だった。大韓体育会イ・ギフン会長が総会を異例のマスコミ公開とし、過激な表現まで飛び出したからだ。

イ会長は同日、大韓体育会と韓国オリンピック委員会(KOC)の分離方案、全国少年体育大会の廃止および全国体育大会高等部との統合によるフェスティバルへの転換など、政府側が出した体育改善案について、「無知から生まれたもの」と一蹴した。

イ会長は「少年体育大会の廃止やKOC分離は、むやみにできるものではない。KOCが(大韓体育会から)今までついたり離れたりしてきたのではないか。議論が必要なら、公論の場を作ってそのときにやればいい」とし、「大韓体育会長を辞任させるためにKOCを分離しなければならないという話も出た。論理が通らない」と主張した。

続けて彼は「(韓国政府と大韓体育会が)東京五輪の単一チーム、2032年の南北オリンピック共同誘致のために2月15日、スイスのローザンヌに行く。そのような状況でKOCを分離するという話は、つじつまが合わない。子供のいたずらなのか。無知から生まれたもの」と力説した。

大韓体育会イ・ギフン会長

同時刻、韓国文化体育観光部は、ソウル鍾路(ジョンロ)区の国立現代美術館ソウル館で、韓国スポーツ界の構造改革のために発足した「スポーツ革新委員会」の初の会議を開いた。

暴力や性的暴行などの不法行為を根絶するための対策を議論するための委員会で、民間委員15人、文化体育観光部と企画財政部、教育部、女性家族部など政府部庁次官を含めて計20人で構成された。会議には元サッカー韓国代表イ・ヨンピョ、現モーグルスキー韓国代表ソ・ジョンファなども参加して、専門性を加えた。

スポーツ革新委員会ムン・ギョンラン委員長は「深刻な問題が議論された。どこかの誰かが公的な責任を負うことが、革新の第一歩という認識を共有した」と明らかにした。

しかし、大韓体育会代議員総会に文化体育観光部関係者が参加せず、またスポーツ革新委員会に大韓体育会関係者が除外されていることから、2月11日に行われたスポーツ界の2つの会議は結局、互いの対立を鮮明にしただけだったという指摘が多い。

イ会長は、シム・ソクヒを暴行したチョ・チェボム元韓国代表コーチの復帰を、平昌五輪期間中にシム・ソクヒ本人の前で直接話したという疑惑で、辞任要求まで受けた。

【関連】コーチからの「常習的な性的暴行」に苦悶していた金メダリストの涙の訴え

それについてイ会長は代議員総会で、「スケートチームの全員を呼んで“事必帰正”(すべてのことは必ず正しい道理に戻るという意味)とし、オリンピックに専念しなさいという意味でいった」と弁解したが、これも釈然としないという分析がある。

スポーツ革新委員会もまた、民間委員のうち現場感覚が落ちる市民団体の人士や教授を大挙配置して、エリート体育(選手育成を目的として実施する体育活動)が築いた功績を否定するのではないかという批判を受けている。

韓国政府と大韓体育会が鋭く対立するなかで、選手たちへの悪影響も危惧せざるを得ない。韓国スポーツ界の改革への道のりは、まだまだ険しそうだ。

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