現在韓国で社会的な大問題となっている“いじめ”問題に、サッカーKリーグも対応に当たっている。
韓国のプロスポーツ界で最大規模とされているKリーグ。そこに属する1部、2部の22クラブは、まさに“学生年代”であるユースチームを抱えているだけに、今回のような“いじめ”問題に対して敏感にならざるをえない。
口火を切ったバレーボール界のみならず、芸能界などの各分野で暴露が連鎖的に波及するなか、一部のKリーグクラブは2月27日の2021シーズン開幕以前に事前調査を行うなど迅速な対応措置を取っている。
韓国プロサッカー連盟もいじめ問題を重大なものとし、2月16日には全クラブに公文書を通じて、ユースチームにおける暴力防止のための現状把握を要請した。クラブ内での暴力や嫌がらせなど、人権蹂躙に関する事例の有無を調査し、管理対策を立てるのが目的だという。
また、トップチームの選手たちに対しては、クラブ内の不正防止面談システム(四半期ごとに1回、合計年4回)を活用し、今後は必須項目として過去のいじめ加害・被害事例確認の項目を追加することとした。22のクラブは2021年の第1四半期の面談を、2021シーズン開幕前までに終える予定となっている。
とあるクラブ関係者は「いじめ問題がスポーツ界に拡散し、全体的に揺らいでいるのは事実だ。被害者の暴露が続くなか、主要選手たちも“もしかして私も当てはまるのではないのか”という不安が少なからずあるようだ」とし、「シーズン開幕を控えた現在、練習に打ち込まなければならない状況だが、互いに打ち解けて話し合う場を設けることに注力している」と話した。
2020年の韓国スポーツ界では、元トライアスロン韓国代表選手である故チェ・スクヒョン氏が、いじめや暴力を苦に自殺するという心痛ましい事件があった。
その事件直後、Kリーグは各クラブのユースチーム選手と指導者を対象に、スポーツ人権・倫理教育を強化し、同年7月にはスポーツ人権ガイドライン、スポーツにおける暴力予防マニュアルを配布。9月には非対面でスポーツ人権と関連した教育を実施していた。
連盟関係者は「(選手の人権に関して)特にユースチームへの予防は重要と考えており、今後も定期的に教育を実施する考えだ。同様に指導者の認識も強化していく」と述べている。
このほかにも、Kリーグホームページ内のクリーンセンターを運営しながら、スポーツ人権、倫理関連の苦情も受け付けている。今年はこのクリーンセンターの活性化にも力を入れる予定とのことだ。
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