「もしかしたらうちのチームにも…?」
韓国女子バレーボールチーム、興国生命スパイダーズに所属する“美人姉妹”、イ・ジェヨン、イ・ダヨン姉妹が、学生時代に起こしたという“校内暴力”問題がバレーボール界を越え、韓国スポーツ界全体に衝撃を与えている。
【関連】韓国女子バレー“美人双子”の校内暴力問題が広がり続ける理由
2020年6月に自ら命を絶った元トライアスロン韓国代表の故チェ・スクヒョン選手(享年22、女性)へのパワハラ事件で、韓国スポーツ界は人権に関する本格的な調査に乗り出していた。
当時は目の届かなかった実業団、すなわちアマチュア種目を扱う団体に限られていたが、今回の論争はプロとアマを合わせてさらに広範囲の問題となった。
特に、有名選手を巡る校内暴力被害者の暴露が、連鎖的に広がる兆しを見せている。
今回の議論の引き金となったイ・ダヨン、イ・ジェヨンの双子姉妹にしても、韓国女子バレーボールのトップクラスのスターだ。最近では芸能界のスターをはじめ、各分野の有名人が過去の学閥論争に苦しめられ、キャリアにダメージを受けることも少なくない。
社会全体で公正性と倫理に関する“ものさし”が厳しくなっているうえ、感受性が敏感になったことから始まったと言える。
スターアスリートも人気芸能人も、好感度で商売をしていると言っても過言ではない。SNSや自分での発信が活発ではなかった時代には、過去の行動が露出することは稀だった。
しかし、最近では多様なSNSプラットフォームが発達したため、有名人の過去も容易に暴露される。現在の良いイメージと相反する行動を見せた彼、彼女らに対して、大衆から心が離れるのは自明の理と言える。
また、暴力は被害者に一生のトラウマを与えるという点で、社会に大きな嫌悪感を与える。そのような論議は加害者を越え、その集団や種目そのものに対する否定的な認識までもたらすこととなる。
韓国でバレーボールの人気は高かったが、イ・ジェヨン、イ・ダヨン姉に加え、ソン・ミョングン、シム・ギョンソプ(OK貯蓄銀行)ら男女部でいずれも学暴加害者が出て大きな衝撃に陥った。
学閥問題が大きくなるにつれ、バレーボール界はもちろん、他種目でも事前調査が活発に行われている。
2月14日に水原(スウォン)体育館で話を聞いた、男子バレーのチャン・ビョンチョル韓国電力公社監督は「校内暴力論争で選手たちが動揺しているのは事実だ。最近、内部で事前調査が行われた。幸いなことに我々にはそんな選手がいなかったらしく、早く切り替えて試合に打ち込んでほしい」と焦りを語った。
クラブの規模が最も大きい韓国プロサッカー界にも伝播している。首都圏所在のクラブ団長は「今回の暴力問題は非常に深刻な事案として受け止めている。ただ、こうした暴露が連鎖している状況で、匿名性を基に「それともそうだ」といった暴露も出る可能性がある。過去の事件を基にしているだけに、最大限事前調査でファクトをチェックしている」と述べた。
アマチュア種目も同様だ。とある地方体育会事務所長は「スポーツ界が過去の軍隊文化をもとに、上下関係が形成され、訓戒目的で手を挙げることが自然だったのが事実だ。最近はあまりないというが、一部種目のスター選手や先輩の参加が懸念される雰囲気なので、内部調査を行っている」と話した。
彼らはみな、「故チェ・スクヒョン選手の事態で、アスリートの人権保護に対する共感が醸成されたように、校内暴力論議を災い転じて福とすべきだ」と主張した。
韓国バレーボール連盟は双子姉妹の校内暴力問題以後、選手たちのメンタル保護強化、選手苦情処理センターの役割強化など、後続対策を発表していた。
スポーツ心理学の権威者である仁荷(インハ)大スポーツ心理学のキム・ビョンジュン教授はスポーツソウル本紙の電話取材に対し「スポーツ界の暴力根絶の一環として、合宿制度の廃止などが出たことがあるが、それは物理的対策だ。今や教育的な対策が必要な時」とし、「心理治療や人格教育を一度きりの特別講義としてはならない。日々の練習のように選手たちが繰り返し、身につけるようにしなければならない」と話した。
そして2012年から10年間、選手たちの心理教育を着実に施行している卓球チームの未来アセット大宇を好例として取り上げた。
「幼い頃からスポーツだけに集中してきた選手は、競争レベルが上がれば上がるほど“道徳推論能力”が落ちるという研究結果が出た」とし、「暴力を根本的に断絶し、上下関係の葛藤を減らすためには、集団の自負心や合意に対する価値を感じられる心理教育が必ず必要だ」と述べた。
前へ
次へ