もとにいた場所が高ければ高いほど、落ちたときの衝撃が大きい。韓国バレーボール界の“アイコン”だった美人双子イ・ジェヨンとイ・ダヨンの失墜が、まさにそれだ。
ほんの数日前までイ・ジェヨンとイ・ダヨン(いずれも興国生命スパイダーズ所属)の双子姉妹は、Vリーグ、さらには韓国スポーツ界のスター選手として愛されていた。
人気バラエティ番組への出演、韓国屈指の自動車ブランドの広告モデルなどを通じて、知名度は急上昇。外見に実力、スター性まで兼ね備えた2人は、女子バレー人気の火付け役だった。
長らくキム・ヨンギョンに依存していた韓国バレーボール界も、2人の活躍をポジティブにとらえていた。
だが、その状況は長続きしなかった。中学時代に彼女らと選手生活をしていた被害者が次々と校内暴力の加害者として2人を指名し、大きな波紋を起こした。
単純な暴力だけでなく、凶器を使用するなど、悪質な行為があったという暴露があり、社会的な怒りを買った。イ・ジェヨンとイ・ダヨンもそれらの暴露を否定せずに認めたが、追加の犠牲者まで登場して状況が悪化した。
最終的に興国生命スパイダーズは2月15日、2人の無期限出場停止処分を発表した。
興国生命スパイダーズ側は、「被害者の方々が体験した傷と痛みを完全に理解し、共感する」とし、「球団は今回のことでバレーボールを愛するすべての方に失望を与えて申し訳なく、深い責任を感じている。校内暴力は絶対に起きてはならないことであり、どんな理由であっても許されることはない。2人の選手は加害の事実を認め、謝罪するなど深く反省している。彼女たちの誤った行動のために苦しんだ被害者の方々に、もう一度謝罪の言葉を申し上げる。事案が重大であるだけに、その選手たちの無期限出場停止を決定した」と伝えた。
これによりイ・ジェヨンとイ・ダヨンはしばらく試合に出ることができず、プレーしない期間は給料も受け取れなくなった。
いつでも懲戒を解くことができているという盲点もあるが、現在の雰囲気であれば、興国生命スパイダーズは簡単に2人をかばうことはできないと思われる。加害者として、まず被害者の心を思うことが最優先であり、ファンの人気と関心で成り立つプロスポーツ選手として、自粛の期間を十分にもたなければならない。
ある程度のコンセンサスが形成されない以上、イ・ジェヨンとイ・ダヨンがコートに戻る姿は当分見られない見通しだ。
韓国バレーボール協会も興国生命スパイダーズの懲戒発表後、すぐに代表資格剥奪を発表した。
シーズン終了後に行われるバレーボールネーションズリーグ、そして東京五輪への道も困難になった。戦力の低下は必至だが、現在は成績がなく、韓国代表としての資格を先に考えるタイミングという意味で、異議のある結論ではないだろう。
韓国バレーボール協会は、女子バレー韓国代表ステファノ・ラバリニ監督にも現状を説明し、それに応じてオリンピックを準備するという構想だ。
ただ、まだこれですべてではない。
韓国バレーボール協会は昨年、2人の母親であるキム・ギョンヒ氏が受賞した“オモニ賞”(オモニ=母親という意味)の取り消しを決定した。キム・ギョンヒ氏は選手出身で、過去、チームに不適切に関与したという被害者家族の証言が出てきており、その賞を受ける資格がないという判断を下したのだ。
バレーボール家族として脚光を浴びた双子姉妹と母親は、一瞬にして奈落の底へ落とされた。
前へ
次へ