事前に予見できた事態が現実のものとなってしまった。
国際バスケットボール連盟(FIBA)アジアカップ予選に参加予定だった男子バスケットボール韓国代表が、招集日当日に急遽試合中止の知らせを受けた。
新型コロナ渦のためイレギュラーが多いことは致し方ないが、出国前日に大会を開催できないというニュースが舞い込んだのは衝撃的だ。FIBAには“無能の極みだ”という声も上がっている。
韓国バスケットボール協会(KBA)は2月12日午前、カタールで行われる予定だったFIBAアジアカップA、B、E組の予選がなくなったという通知を受けた。
準備を推し進めていた関係者たちは、当惑した表情を隠せなかった。韓国代表は同日に召集され、2月13日午前にカタールへと向かう予定だったからだ。
入国後4日間、現地への適応とトレーニングを積み、18日からフィリピン、インドネシア、タイとグループAの予選を行う計画だった。しかし、カタール政府は12日に急遽、自国内の新型コロナ拡散傾向を考慮し、同日から国内で開かれるスポーツの全大会を中止するよう通知したという。
カタールバスケットボール連盟だけでなく、FIBAも同様に困惑しているようだ。大会の開催に際して、当初から新型コロナの拡散が収まっていない状態で、あえて強行すべきなのかという懐疑論も多かった。そのため今回の急転直下の事態は、あらかじめ予見された事態という意見が大勢を占めている。
KBAも当然のごとく騒然。中止の通達を受けるや否や、ホットラインをフル稼動して宿泊先のキャンセルなど対応に慌てている。
FIBAは慌てて火消しに乗り出した。予選参加国に公文書で「近いうちに試合を行うよう代案を考えている。同日の21時までに決定事項を伝える予定」と通知。協会は事実上、何もできないため、FIBAの決定を待たなければならない“おあずけ”状態だ。
韓国プロバスケットボール連盟(KBL)所属の10クラブも他人ごとではない。もし開催地が変わるとなれば日程の延期は避けられないため、屋内競技場やメディア環境の手配など、大会へ向けた準備だけでも3、4日以上が必要となる。
加えて、選手団の宿舎やトレーニング日程、動線なども用意しなければならず、1日2日で準備できるかは全くの未知数だ。
KBLはアジアカップへ向けた代表チームに、各クラブの主力選手を1人ずつ選抜し、2月23日まで中断期間に入った。
大会後は2週間の自己隔離が決まっているため、いくつかのチームからは主軸が抜けたままリーグで順位争いをしなければならないと不満の声も相次いでいた。アジアカップの日程が延期されるとなると、帰国、隔離、チーム合流とすべてにおいてズレが生じるため、簡単な問題ではない。
もちろん、大会が取り消されればそのような悩みは一発で解消される。
しかし、火を見るよりも明らかな状況を巡り、正常に声を上げられないバスケットボール協会や、安易な対応で事態を拡大させたFIBA、カタールバスケットボール連盟などへの非難は、これから避けられないものと見られる。
FIBAがどのような判断を下すのか、続報を待ちたい。
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