表向きは“隔離免除”のように感じられるが、実際は少々異なるようだ。
カタールで開催されているFIFAクラブワールドカップに参加したKリーグ1の蔚山現代FCが、FIFAのチャーター機で2月8日午後に韓国へと帰国した。蔚山現代は本来、韓国の新型コロナ防疫規則に従い、帰国後に2週間の自己隔離しなければならない。
しかし、韓国政府と防疫当局の協力により「7日間のコホート(集団)隔離」の承認を受けたため、この期間は統制された状況下での練習が可能となっている。
2月27日にKリーグ開幕を控え、選手のコンディション管理が懸念されていたが、大きな問題はなさそうだ。
今回蔚山現代に適用された「7日間のコホート隔離」は、既存の隔離義務と比べて制限要素が少ないと言えるが、実体は意外に厳しいとの声も少なくない。防疫当局によると、蔚山現代はクラブW杯参加に先立ち、疾病管理本部や文化体育観光部を通じて隔離義務の緩和への議論を交わしていたという。
疾病管理本部や文化体育観光部は当初、蔚山現代に限らずアジアカップ予選を控えたバスケットボール韓国代表や、カタールW杯アジア予選に参加するサッカー韓国代表など、国際大会に出場する各種目の代表チーム、およびその関係者への隔離指針調整に苦心してきた。
2021年初の国際大会に参加した蔚山現代は、今後の“判断基準”になるため慎重に取り扱われてきた。
防疫当局はまず、遠征先となる国家の防疫システムや安全性を検討。国家の外交部までが介入し、カタール領事館を通じて開催地の現地調査を徹底的に行なったという。
今回クラブW杯開催地となったカタールは昨年、コロナ渦においてもアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を安定的に開催し、一定の評価を得ていた。今回のクラブW杯も同様に、出場チームの選手団が宿泊するホテルやトレーニング場、スタジアムを“バブル地域”として限定し、関係者の動線を最小化。外部との接触は徹底的に阻止されていた。
また、PCR検査も3日に1度実施するなど、徹底した防疫システムを施行し、蔚山現代敗退後もクラブW杯は問題なく進行中だ。
2月8日に帰国した蔚山現代選手団は、直ちにクラブのバスでコホート隔離施設に指定されたクラブハウスへと移動した。
蔚山現代のクラブハウスは、トレーニング場と宿泊場所が隣接しているため隔離施設としては最適と言える。1週間は外部からの立ち入りが禁じられ、大会に参加したコーチや選手団、クラブスタッフがここで過ごすことになる。
また食堂職員や警備員など、クラブハウスで働く従事者たちもこれまで通りとはいかず、隔離生活を送る予定だ。蔚山現代事務局の職員は、全員在宅勤務となる。
また、トップチームとともに過ごしていたユースチームの選手たちも、しばらく自宅に戻ることとなるそうだ。8日に帰国した蔚山現代選手団は、9日にクラブのバスで指定病院に移動し、PCR検査を受ける予定となっている。以後は1日3回の体温チェックを実施し、疾病管理本部への報告が課されているという。
“7日間”と銘打ってはいるものの、1週間後即時に隔離が解除されるわけではなく、さらに1週間は制限された生活に置かれるようだ。隔離は1週間で終了するものの、コーチや選手たちは車を利用して自宅とクラブハウスだけの往来しか許可されていない。
そのほかにも、クラブハウスで過ごす人々はコホート隔離期間と同様に生活を送らなければならなず、結局は実質的に2週間の隔離生活をしなければならないということだ。
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